第739話 見えない敵と見えない強さ
『アイス!』
俺は頼れる味方を呼び出した。思うように相手を捉えられないなら、空間ごと攻撃、支配してしまえばいいのだ。そして、それができるのがアイスってわけだ。
氷っていうのは物質的側面もありながら同時に水でもあるので、液体になることも気体になることも容易なのだ。
そして、それをアイスに操ってもらうことで、敵を空間から攻撃していこうというわけだな。
アイスは、意外かもしれないが魔王軍の中で最も魔法の扱いに長けている。これはアイスが優秀であると同時に、他のメンバーが肉弾戦よりということでもある。まったく、誰に影響を受けたんだか。
つまり、今こそアイスの活躍するチャンスなのだ。
『アイスー、目に見えないお水を凍らせることってできるー?』
『んー、わかんないけどなんとなくできそーだからやってみるね。だいやもんどだすとー!」
アイスがそう唱えると、宙にキラキラしたものが漂い始めた。そして、
バタっ、バタバタ
どこからか、何かが落ちる音がした。しかも一度だけではない。何個か複数回落ちた音がした。その音の発信源に向かうと、そこには、、、
「蝙蝠?」
え、ドユコト、なにがおきたの?
『アイスー、何をしたのー?』
『んー、みえないおみずをこおらせてー、』
うん、それがダイヤモンドダストだろ? そこまではついていけてるんだよ。だけとその後、その後が問題だ。どうして蝙蝠か落ちてきたんだ?
『そしたら、そのこおったおみずをすいこんだひとたちがねーたくさんいたから、えいってしたのー!』
はい?
『ねーねー、あいちゅえらいー?』
『お、おう。もちろん偉いぞ! よくやった! よしよーし』
そうやって、取り敢えず理解することを放置してアイスを撫で撫でよしよししてあげた。アイスは俺からあやされてとても嬉しそうだ。
そんな顔されちゃ、俺ももっとわしゃわしゃしたくなるじゃないか。
だが、それとこれとは別問題だ。アイスの言葉をもう一度整理しよう。まずダイヤモンドダストを生み出したんだよな。
そしてそのあと沢山の人がそれを吸い込んだからえいってした。はい?
え、俺の勝手な解釈をするとだぞ? まずアイスはダイヤモンドダストを吸い込んだ敵を感知することができて、さらにそこから攻撃することができる、ってことになるよな?
え、え、え、え、え? ちょっと強すぎないですかね? アイスさんは毎回見るたびに強くなってるんですがどういうことなんですかね? 相手にほぼ気付かれないようにマーキングできて尚且ついつでもやれるってはっきり言って最強チート野郎ですよね?
この暗闇で少しキラキラとしたものが見えたくらいだったから、日中だと見えづらいと思うし、見えたところで息を止めない限りは体に入り込むから実質防御不可ともきました。
え、アイス、アイス!
俺はとんでもない化け物を育ててしまったのかもしれない。こんだけ可愛くて強かったらもう誰も勝てないのではなかろうか?
もし、アイスがやられた時は、その時は動物愛護団体を味方につけるとしよう。そしたら絶対に勝てるだろ、うん。
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アイスは可愛い可愛い魔王軍のペットです()
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