第726話 弟子ポジ
「お、いるいる。おーい」
俺は、謁見の間にある人たちを集めておいた。
「し、師匠? 神聖魔法ってどういう事ですか?」
「どういうもこういうも、言葉の通りだぞ? ほら、吸血鬼って十字架とか見せられただけで上手く力を発揮できなくなるだろう? それは全部神聖魔法が弱点だからなんだ。それを克服すれば、お前が十字架を持つだけで相手を弱体化させられるんだぞ?」
「な、なるほど……! それは強力ですね! しかし、このなんとも言い難い人たちはどうしてここにいるんでしょうか?」
俺の弟子は目の前にいる人物を指してそう言った。なんとも言い難いって……オブラートに包もうとしたのは分かるが、もっと言いようはなかったのか? まあ、確かに俺に魔改造されて異形の姿になってることは認めるが。
「こいつらは堕天使だな。今は改造されて面影はないかもしれないが、コイツらは元天使だ。だから、お前が苦手な神聖魔法を使ってもらうためにわざわざ来てもらったんだ。感謝しろよ?」
「こ、この方達が元天使!? し、師匠には一体どんな繋がりが……」
「堕天使ズに説明すると、コイツは俺の弟子だ。今は訳あって修行に付き合っている最中なんだ。協力してもらえると助かる」
「かしこまりました、魔王様。しかし、私たちも協力するのですから、」
「対価とは言いませんが何かご褒美が欲しいものですね。それこそ」
「最近、自分たちの強化が思うように行かなくて……」
え、これってもしかして自分たちも強くしてくれって、三連コンボでお願いされてるのか? にしても区切る部分がおかしくないか?
でもまあ、ぽっと出の奴のくせに俺につきっきりで修行するっていうのは確かに気に食わないかもしれない。それに、堕天使たちは何かと放置しがちになってしまってるからな。カイトの修行が終わったら、コイツらの面倒を見てあげてもいいかもしれない。
「そうか、そうだな。だが、一つだけ言っとくが、この吸血鬼はお前たちよりも俺との付き合いは長い、一応先輩だからな? まあ、だからと言ってお前らを蔑ろにするつもりはない。コイツが終わったらしっかりと面倒を見てあげるから、今は少し手伝ってくれ」
「ほ、本当ですか魔王様!? ありがたきお言葉」
「光栄に存じます! 私たちまだまだ未熟者ですが、」
「全力でお手伝いさせてもらいますっ!!」
だから、その喋り方はまだしも、区切り方はどうにかならないか? 言葉には区切るべき所というのがあってだな。
「し、師匠。師匠って魔王だったんですか?」
「ん、そうだぞ。あれ、言ってなかったか? 最近、魔王を名乗り始めたんだ。ってことでお前は魔王の弟子だ。良かったな、でっかい後ろ盾ができて」
「え、え!? 本当なんですか? てっきり冗談かと……まさか、本当に魔王になってるなんて。いや、でも師匠の力を考えれば当然のことなのか? いや、でも確かにあの時はまだ人間だったはず……」
「魔王に師事してもらってるんだぞ? しかも、お前のポジションを羨ましがる奴らもいるんだ。ちゃんと感謝して、そして真摯に修行に取り組めよ?」
「は、はいっ! ありがとうございます!!」
うん、いい返事だな。
「よし、じゃあ神聖魔法を食らってくか。じゃあ、まずそこら辺に座って。。。はい、じゃあお前ら頼むぞー」
「え、ここに座って? この状態で、え、ちょまっ! ぶべっ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます