第685話 よし〇〇しよう


「ふぅ」


 なんか、久しぶりに俺の原点とも呼べる場所に戻ったからか、なんか死にたくなってきた。


 特に最近は魔王やらイベントやらのせいで死ねてない気がする。まあ、ある意味ではゲームを楽しめているからいいのかもしれないが、それじゃダメだよな。


 あくまで死を側に置くからこそ、常に意識するからこそより生が際立つというものだ。


 だから……死のう。


 と言っても、最近死んでいないのには訳がある。そもそも、死にづらくなってきたのだ。生物学的に言えばすごいことなのかもしれないが、個人的には複雑な気持ちだ。


 もちろん、貫通というスキルを使うという手段がある。しかし、これもずっと使っていけばいずれは貫通無効が手に入ってしまうのではないか、という懸念があるのだ。


 そうなったらいよいよ手がつけられなくなる。そうなる前に何か他の死に方を探さなければならないのだ。


 あ、そうだ。こういう時にアイツを使うのか!


「おい、聞こえるか? 強い奴を探せ。我でも苦戦するような強敵を」


 よし、これでいいな。アスカトルの配下越しに伝言を伝えた。これがアイツにとっての初任務となる。俺が苦戦するくらいの強敵なら俺をも殺しうる可能性がある。それに望みを託そう。


 ふむ、だがそうなってくるとアイツが情報を見つけるまでは暇になってしまうな。まあ別に一日、二日程度ならいいが、何ヶ月もかかってしまう、ということもあるかもしれない。


 そうなってくると俺も暇になるからなー。


 最近は比較的配下の強化に、そろそろ自分の強化をするか。強敵を探すよう依頼したからには、ちゃんと自身も強くなって、死に戻りした後はちゃんと倒せるようにしないとな。


 あ、そうだ、まずはスキルショップに行くか。折角人間に扮装しているのだから、今できることをやっておこう。それにスキルの購入はやはり一番お手軽な強化と言えるからな。


 ❇︎


「お邪魔しまーす」


 うおー久しぶりだなここも。魔王になってからきたことあったっけな? まあ、とりあえず物色していこう。


「なっ……!? こ、これは!?」


 HP、高速、回復、だとっ!? 俺の持っているHP自動回復の完全上位互換じゃないかっ!


 これは何としてでも俺が取得しなければならないじゃないか! なぜなら、これをもし他人に取られると俺のHP自動回復の特異性が失われるし、何より……霞む。


 よし、買おう、即決だ。


「爺さん、これを俺に売ってくれ!」


「フォッフォッフォ、買うと思ったわい。だが、それはちと高いぞ?」


 た、高い? とは言っても俺もそこそこ金は持っているはずだ。余程のことでなければ足りるだろう。


「い、いくらだ?」


「五千万じゃ」


「は?」

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