第681話 宿敵再開


 ホーンラビット、それは俺の宿敵でもあり、今の俺を形作ってくれた恩人でもある。


 俺がこの世界に来た時には散々お世話になったものだが、まさかこんなとこで会えるとはな……!


 まあ、同じ場所だからそりゃ出会いもするか。


 だが、ここで会ったが百年目、今日は決着をつけさせてもらおう。行くぞ、ホーンラビット、俺の全力を受け止めてみr


「うぉぉおおおおおーー!!」


 ブチャ


「ん?」


「え?」


「あ、いや、なんでもないぞ?」


「そうですか? 大丈夫ですか? 顔色悪いですよ? 少し休みますか? 私も一緒についてくださってもらってる安心感から少しはしゃぎすぎました」


「そうか、なら一旦休むか」


「はいっ!」


 ほ、ホーンラビットぉ……無念。お前のことは忘れないからな、お前との思い出も俺の中にずっと残ってるからな!


「ん、胸を押さえてどうされましたか? もしかして、心臓発作とかですか? 大丈夫ですか?」


 ん? 心臓発作? 俺をなんだと思ってるんだこの人は。それに仮に発作が起きてたらもうあの世だろ。


「いや、違いますよ。安心してください、私は大丈夫です」


 俺はニッコリと笑顔を作ってなるべく安心させるようにそう答えた。どう勘違いしたとしても、流石に心配させるのは良くないからな。


「そ、そ、そうなんですね! なら良かったです! あ、そういえば私たちまだ自己紹介をしていませんでしたね! 私はカッチャといいます! お名前を聞いてもいいですか?」


 不味い、ここで正直に言うのは少し嫌だな。後々、どこかで問題に繋がったりするかもしれないからな。


 ここは偽名で答えよう。偽名、偽名、折角なら少し関連付けて……


「はい、私の名前はLEDです。レッドとお呼び下さい」


 よし、完璧だな。枕詞につければパワーアップできるし、レッドと呼ばれれば一見かなり無関係に思えるからな。


 それに、なんだか強そうでカッコいい。咄嗟に考えついたものだが、案外気に入ったな。


「れ、レッドさんですね! 今日はもう遅いですからお開きにしますか! ま、またよければご一緒させてください! で、ではー!」


 そう言って彼女は嵐のように去って行ってしまった。一体何だったんだろうか? 親からメールが来てあと二秒後にゲームをやめなければ、断線するぞ、とでも脅されたのだろうか。


 まあ、考えても仕方のないことだからな。でも、急にすることなくなったな、よし、こうなったらあそこに行くか!


 ホーンラビットが始まりの敵とするならば、あそこはそうだな、始まりの場所とでも言うべき場所だな。


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