第642話 天界での展開


「ミカエル様、どうやら下界の魔物を引き連れた魔王と称する者が、主天使オリベルを殺害したようです」


「ふむ、下界のものであるか。ならば特段警戒する必要もないが、天使を殺めるという罪を犯したものを生かしてはおけまい。天罰を下してやらねばならんな」


「左様でございます。さらに、その者は主天使以外にも下級天使達を複数殺めているとの情報が入っており、こちらは定かではありませんが、天使を誘惑し堕としたとも……」


「なに? 天使を堕としただと? ほぅ、面白い。ではこれで更に罪状が増えることとなってしまったな。一体どんな罰を与えてやろうか、普通に殺すだけではもったいないからな」


「左様でございます。ところで天罰はミカエル様ご自身でなされるのですか?」


「ふむ、そうだな。別に我が直々に行ってもいいのだが、下界の者だ、我が出るまでもないだろう。そうだ、ガブリエルに行かせようじゃないか。どうせアイツは昼寝しかしておらんのだろうからな」


「畏まりました。そのようにお伝えしておきます」


「下界の者がどれだけできるのか見せてもらおうじゃないか。せめて余興程度にはなればいいのだが……」


 ❇︎


「えー、ボクが天罰なんてしたくないよー面倒臭い。そーいうのはしたがる奴らにやらせておけばいいでしょー」


「そうはいきません、ガブリエル様。これはミカエル様の勅命でございます。それに、その者は主天使を倒したのだとか」


「へぇ、面白そうじゃん。爺ちゃんからの勅命ってだけでも面白いのに、そこに主天使殺しかー。ボクに頼むのもなんかわかるなー、ボク、こういう奴の方が燃えるからね」


「では、一ヶ月後には出発しておきたいので、それまでには準備しておいてください。何か、ご用意が必要であらば、いつでもお申し付けください。では、これで」


「あ、ちょっと待って、用意するものは今から言うよ。天使のそこそこ強いやつと強いやつ合計五十くらいと、後は人間を集めてきてくれない? どうやら下界には死んでも死んでも生き返るっていう人間がいるらしいからそいつらが欲しい」


「畏まりました。理由はなんと言いましょう」


「えー、そんなのなんでもいいでしょ。こっちは天使なんだし、適当に天国に行きたい奴らは参加しろとか言っとけばついてくるよー」


「畏まりました。武器等のご用意は結構でございましたか?」


「うん、ボクには必要ないからね。ってか、死なない兵がいるだけで正直ボクの勝ち以外あり得ないんだけどね。まあ、爺ちゃんからの頼み事だし、チャチャっと終わらせて何かおねだりしよー。そうだ、ボクも死んでも生き返るようにしてもらおうかな? あはははー」


「では、これで失礼いたします」


「はぁ、一体どんな奴なんだろうね、天使様に喧嘩なんか吹っかけちゃうアホんたらは。せいぜい面白くあがいて踊ってくれたらいいなー。もう、楽しみで寝られないよー!」



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