第585話 二つの強化


『全軍に告ぐ! 今から全力で我を迎え撃つのだ!!』


 俺、今、物凄く変なことを言っている気がするんだが、まあ、気にしたら負けだろう。それよりもこの城をちゃんと俺が攻略できるのか、問題はそこだ。


 配下全員よりも魔王は強くなければならないのだから、クリア出来るなんて当然っちゃ当然のことだ。


 でも、不安なものは不安だろう? やってみなければ分からないし、これで万が一俺が負けるようなことがあれば、早急に対応しなければいけなくなる。


 ❇︎


「ゴホン、」


 結果から言おう、俺は魔王城を攻略できま、、、した!!


 でもまあ、これで魔王として当たり前のポジションについたわけだし、もしかしたら魔王軍から忖度という名の手加減がされていたのかもしれない。


 しかし、当面は城の防衛力の強化に努めて良いだろう。


 ん? ちょっと待てよ? 俺が城を攻略しようとしてのは、この城をクリアできる者が現れた時に、果たして俺はその者に勝てるのか、という疑問があったからだ。


 つまり、この城を強くすればするだけ、いつか来るXデーの時、俺への挑戦者は強くなってるってことだよな?


 そして、先程の俺の攻略で俺がこの城よりも強いと言うことが証明されている。


 それならば、まずはこの状態のまま俺を最大限に強化した後に、改めてこの城を強化し、それを俺がクリアできるかどうか試す、という流れにした方が良さそうだな。


 それで俺がその時、城よりも強くても弱くても自分を強化すれば問題ないだろう? 俺が城をクリアできるまでやれば良いと言うことなのだから。


「よし!」


 これで俺のおまかな流れが決まった。そして、俺が今しなければならないことは俺自身の強化だ。


 配下の誰よりも強い魔王、それを体現するべく俺はまだまだ、というか、この先ずっと俺に配下がいる限り、自身の強化をやめてはいけないんだな。


 なんか最近は、従魔や、城のことばっかりに専念していた気がするが、しっかりと自分の為にも時間を使わないとな。それが俺だけでなく、配下のためとなるならば尚更だ。


 だが、俺自身、どうやって強くなるのか、と言う話だ。まあ、俺の中でいくらか思い描いているビジョンが二つほどある。


 実力的に強くなるのか、それともシステム的に強くなるのか、と言うことだ。


 実力的に強くなる、と言うのはわかるやすいだろう。俺が普通に戦い方であったり、武器の使い方であったりと、技術的な面での強化を図ろうと言うわけだ。


 システム的というのは、それこそステータスやスキル、といったものでの強化をするということだな。


 この二つのうちどちらかが欠けてもいけないのだろうが、どちらかが秀でていれば補える、ということもまた事実だ。


 この二つのうち、どちらの強化をまずすべきか、非常に悩むな。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る