第549話 光の奔流
おいおい、原始の息吹ってなんだよそれ、俺との試運転の時には見せてくれてなかったぞ? もしかして、俺を倒す時の為にとっておいたとでもいうのか?
まあ、俺を殺すことができたら、その褒美として、何度も俺を殺すことができる権利を与えよう。そして、俺はその技に対して耐性を得られるからまさに、win-winだな。
それにしてもかなりの威力だった。九つある頭の内、八つからブレスの前段階の溜めが現れ、それが、前方で一つになってからブレスとして発射された。
一つに合わさる前は各属性を表した配色で、とても綺麗だったし、一つになった後は後で、無色というか眩い光だったから、全体的に綺麗だった。
ただ、それを食らった奴らはそんなことに目を向けてられないだろうな。その光に掠っただけでも命が儚く消えてしまう。
あ、そしてそのブレスを撃ち終わった後は、攻撃に参加しなかった一つの頭が、忙しなく、周りに生き残ったプレイヤーたちを捕食していった。恐らく、大技を撃ってお腹が空いたのだろう。たんとお食べ。
もし、俺があの技を食らったらどうなるんだろうな。俺でも死ねるのかな? そしてもし死ねるのならどんな耐性をゲットできるんだろうか? まあ、後で食らってみれば分かるか。
因みに俺は今、空中観戦を楽しんでいた。上からだと、全体的な構図が見れるから戦況を把握しやすい。それに、戦争シミュレーションをしているみたいで、とても面白い。まあ、どっちも俺の軍じゃ無いんだけどな。
海馬の登場で一気に戦況が荒れ、ただいま乱戦模様だ。まさしく、ブレス時々矢の雨、って感じだな。
ふと、海馬の頭の一つと目があったから、親指をたてて、グッジョブとサインしてみたら、全部の顔がこちらを向いて、嬉しそうに咆えた。
周りのプレイヤーからすれば恐ろしいモンスターが天に向かって咆哮を上げたように見えたことだろう。
そして、そのまま何事もなくそこらにいる敵を海馬が狩り尽くしていると、突然、終わりが訪れた。
「中国サイドのコアの破壊が確認されました。イギリス側の勝利です、お疲れ様でした。一分後に送還されます」
ん? あ、そっか、コアのことすっかり忘れてたわ。前線はこんなにも乱戦を呈していたのに、いや、こんなに乱戦だったからこそっとコアを破壊することができたのだろう。
中国は特に海馬が来る前は国全体で連携が取れていたように見えるから、逆にその連携が崩されると弱かったのだろう。
まあ、海馬の初陣、デビュー戦にしてはいい結果を残せたんじゃないか?
それに、敵を倒しまくるという目標も達成できているだろうからな。今後もこの調子で倒しまくろう。
あれ、そういえば俺ってどんくらいプレイヤー倒せばいいんだろうか? 戦っている国同士は、相手に倒されるよりも多く倒せばいいっていう単純明快なルールがあるが、俺は、何よりも多く倒せばいいんだ?
それとも倒した分だけ報酬が貰えるってことか? なら、もう手加減してられないな。それに、今回みたいにコアを破壊されて、すぐに終わってしまうのもダメだな。
色々と俺も反省しつつこれからの狩を続けよう。なんたってまだまだ俺には狩場はたくさん用意されているからな。
え、お前じゃなくて、どうせ従魔だろ、って?
お、俺もやればできるし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます