第547話 オレのターン!


「国別対抗、第一回戦、イギリス対中国の試合が開始されます」


 あ、やべ、試合が始まってしまう。俺が海馬を魔改造して色々試運転している間に結構時間が経ってしまっていたようだ。……仕方がないよな、もう行くしかない。


 そういって俺は、どこか懐かしさすら覚える感覚に囚われ、気づくと、洞窟の中にいた。


 ふむ、ここが、第三勢力のスタート地点か? 毎回洞窟スタートなのだろうか? まあ、敵陣営のど真ん中に飛ばされるよりかは全然良いだろう。


 それよりも…………


「俺、ボッチ!?」


 いや、ここにきた時点でそれはわかっていたんだが、もしかして誰かが潜んでいないものかと大声を出してみたんだが、普通に考えたら俺と同じく飛ばされているはずだよな。


 とりあえず、第三勢力(一人)ということで何か行動を始めないとだな。確かこの戦いは合戦形式で、お互いに攻め合う形だったと思うんだが、それがどのステージで、どのくらいの規模感なのか、一切知らない。


 まず、俺に必要なのは情報だな。彼を知り、己をしればなんちゃらだ。ん、ちょっと意味違うか? まあ、気にしたら負けだ。


「【隠遁】」


 第三勢力の存在自体を知られていないのに、俺の姿をみられるわけにはいかない。しっかり隠遁を発動して、洞窟の外に出てみる。すると、そこには草原が広がっていた。


 そして、とても遠くの方に二つの建物が見える。おそらくあれがお互いが攻め合う砦なのだろうな。


 俺らは、遠く、遠く離れた地点でなおかつ砦の真ん中付近に配置されているのだろう。まるで、どちらに加担しても良いんだぞ、と言わんばかりの場所だな。何か恣意的なものを感じなくもないが、ここは好きなようにやらせてもらう。


 混沌、それを体現すれば邪神様からは認められんだろ? ならば、プレイヤーを混乱と災禍の渦に呑み込んでやろうじゃないか。


 おそらくこの状態であれば、気づかれないだろうから、とりあえず近づこう。今、俺が一番避けなければならないのが、俺みたいな第三勢力の存在が露見することだ。


 それを防ぐ為に、まずは近づきどちらかのプレイヤーに紛れる。もし、この試合が日本の試合だったらまだ色々やれることはあるだろうが、言語も知らない国だからな。翻訳してくれるとはいえ、流石に怪しさ満点だろう。


 だから、俺は紛れつつも完全に姿は晦ませたままにする。


 ってか、まだ、戦況動かねーんだな。誰か特攻でも仕掛けろよー。まあ、お互い守りを固めたり、作戦を確認したりしてるんだろう。


 っと、そんなこんなで、のんびりしていると、右側からは軍隊のように一糸乱れぬ統率でプレイヤーが、左からは皆思い思いにプレイヤーが出てきた。


 左側はうまく作戦がまとまっていないのか? 逆に右側は集団行動かよ、っていうくらい揃っている。


 これは、何をするまでもなく、右側の勝ちそうだな。


 あ、こういう時に左の加勢をしろってことなのか? まあ、良いや。今回やるのはどうせ俺じゃないし。高みの見物といかせてもらおうか。


「海馬! 暴れてこい!」


『はっ…………ふははははは! この我に歯向かうなど恥を知れ、自らの矮小さを思い知るが良い! くらえ、』


 俺に返事したと思ったら、元の海馬が顔を出した。あ、それ敵には発動するのね。でも、それ、俺以外には聞こえてないけど、大丈夫か?


『【原始の息吹】!』


 あ、

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