第450話 誤った思考法と使用法


 ドワーフになる方法かー。とは言っても、変身、みたいなスキルはもってないし、ここでの生活は諦めるしかないか? 


 だって確実に正攻法ではここにたどり着いてはないだろうし、このまま入って国中から追われる、なんて展開は嫌だ。


 んー、目の前にご馳走を用意されて、それをただ見ているだけって、めちゃくちゃ辛いよな、そんな感じだ。


 俺がドワーフになるには転生とかしないといけないのか? しかし、ドワーフに転生とかしたくはないよなー。ドワーフって、別にカッコよくはないからな。


 となると、完全にこれは諦めるしかないか。もう、どうしようもない気がする。だって、見た目だけドワーフになるなんて、そっちの方がよっぽど難しそうだからな。


「ん?」


 なんか、引っかかるな。俺は今体の何処かが痒いのに、その場所がよく分からない、そんな感覚に陥っている。もしかしたら、その痒い場所を見つけることができたら、この問題を解決できるかもしれない。


 転生……は無理だよな? そんな方法聞いたこともないし、そんな易々と出るもんでもないだろう? でも現実的な方法として存在するのはこちらの方だろう。


 じゃあ、変身? この変身というスキルがあるとして、どのような仕様になるのかは分からないが、あるとするのならば、転生よりも遥かに難しいものだと思う。なんせ、使い分けることができる、という点で一度きりの転生を上回っているからな。


 ん? 分からんな。この二つのどちらかしかない筈なのに、どちらもコレといった感覚はなかった。


 もしかして、この二つではない新たな選択肢が答えになるのか……?


 転生というのは、もう完全に生まれ変わること。変身はどちらも選択可能になるよな。じゃあ、そのどちらでもないということは、完全に生まれ変わらずに、どちらも選択できるということだ。


 これはとても良いとこ取りな気がするが、より具体的にいうと、ヒューマンのままで、ドワーフの姿も、ヒューマンの姿にもなることができる、ってことだ。


 お、近づいてきた気がする。つまり、姿だけをを変えれば良いってことだな! 確かにそうだ。俺は転生か変身という二択しかなかったが、見た目だけを変えれば良いんだよな? 


 そして、見た目を変えるだけなら……


「出てこい、デトックス、君に決めた!」


 デトの、あの力をつかえば何とか行ける筈だ。


『デト、説明は後だ。俺に従ってくれ』


『かしこまりました』


「【人魔一体】!」


 俺はこのスキルで、デトックスと文字通り一心同体になる。二足歩行の俺が四足歩行しそうな体形になる。背中には甲羅、うんバッチリだな。


 そして、この状態で……!


「【擬態】!!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る