第401話 ウィザッパー(別視点)
「次ゃあ、どこ行くんだぁ、ウィズよぉ!」
「まあまあ、落ち着いて下さいよ。次は、トカゲですね、ウィングリザード、翼の生えたトカゲです。まあ、言ってもドラゴンではないから安心して下さい、その手前と思って貰えればいいかと」
「ふーん、そいつってつぇーのか? ドラゴンならまだしも、そんな羽をトカゲにくっつけたみたいな奴がよぉ!」
「ふふふ、強いんですよこれが。アッパーさんならもちろん勝てるとは思いますが、油断禁物ですよ?」
「ったりめーだ! さっさといくぞ!」
その相手とは奇しくも主人公達が帰らずの塔のマグマの階で瞬殺をした相手だった。前回のゴーレムといい、奇妙な縁が続いているのだが、当事者達はそれを知る由もない。
❇︎
「ふぅ、あっちぃーなぁー」
そこは火山、第三と第四の街の丁度境目となる場所にあり、ここを超えられるかどうかでプレイヤーとしての強さが位置付けられる。そして、二人はその火山の奥、通常では決して通ることのないであろう、脇道に逸れた人影がない場所にいた。
「本当ーに、んなとこにいるんだよな? いなかったらぶっ飛ばすぞ?」
「アッパーさん、あそこです!」
そこには、岩の影に隠れるようにトカゲが羽を休めて休眠していた。非常に変な表現だがこれはありのままを描写したものだ。
そして寝ているとなると先制攻撃を決められると思うかもしれないが、このトカゲは非常に敏感な生き物で、音、気配、温度はもちろん、湿度、光量、そして殺気などあらゆる要素に対して敏感なのである。
まあ、このモンスターを見つけたものはほぼいないのだが。
「コイツをぶん殴れば良いってことだよな? ふぅーー、はぁああっ!」
「ギャアアア!!」
アッパーは渾身の一撃を放った、スキルを使わなかったが、その中でも出しうる最高峰のパンチを繰り出した。しかし、相手の感知能力はアッパーのスピードを凌駕し、その攻撃を掠めるだけに留まらせた。
「チッ、避けられたか。ウィズぅ! 援護しろ!」
「全く、人づかいが荒いんですから。【鎖縛魔法】、流鎖爆流」
ウィズが最近得意とする鎖縛魔法は、鎖魔法の派生版で、相手を拘束することに非常に長けている。それはウィズの性格とプレイスタイルの両方に凄くあっていた。
「ここで決める! 全開放、【破、砕、拳】っ!!」
ッドゴーーーーン!!
宣言通りその一撃で決めたアッパーとの後ろでまたもや怪しい動きをするのはウィズの影であった。
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