第395話 絶対無理イベント


「おい、爺さん! どっこにも悪魔いないんだけど!? どうなってんだ?」


 俺は研究所につくなり、開口一番で文句を吐いた。


「何、本当か? 儂も情報を集めたのだが、どうやら薬屋の地下にいるらしいぞ?」


「は?」


 薬屋の地下室? なんだよそれ。


「この子爵級の悪魔は薬屋を牛耳っており、薬を密売しておるようじゃ。それも麻薬などの体を壊してしまう奴じゃな。しかも、体を治す薬も売ってはおるのじゃが、法外な値段で売ってるそうじゃ。これはいち早く対処せねばならぬぞ。お主、行ってくるのじゃ」


 お主、行ってくるのじゃ。じゃねーよ、薬屋に地下があるとは思わねーだろ全く、これって絶対に行き詰まること確定のイベントだろ。そして爺さんに聞きにこないと分からない奴だな。


 しかも悪魔は悪魔でなかなか悪どいことやってんな。表では高い値段で薬を売りつけ、裏では薬の密売って、今時現実のヤクザでもんなことしねーよってレベルだな。


 爺さんのいいなりになるのはちょいと、いやかなり癪だがこれは行くしかねぇな。流石に周りの人たちが可哀想だ。


 ただ、今回もガチャで外れたらもう容赦はしないからな。


❇︎


「はぁー」


 到着した。もちろん来たことがある薬屋だ、それも二回だ。


 だが、ここに来たときには大して怪しい感じというか雰囲気は感じられなかったのだが、さすが子爵ということか? 隠すのも上手になっているということか。


 それにしても前回もそうだったが、悪魔に会うまでがしんどいんだよな。なんて言って会えばいいんだ?


「どうしたんだい、何を探してんだい? 用が無いなら帰んな!」


 レジ……ではないな、売っているのは気の強いおばさんだ。今日ここにくるのは三回目だし、何も買わずに店を眺めているだけだから相当怪しまれているなこりゃ。何か行動を起こさないとここを追い出されちゃうぞ。


 ど、どうしようか。もう、前回見たくノリでいくしかねぇ!


「んあ? 婆さん、ちょっくらあるもんを探しててここにあるって聞いて来たんだが、どうにも見つからなくてな。ここにアレっておいてないのか?」


 ちょっと白々すぎただろうか。阿呆な裏社会に少し齧ってそうな人を演じたんだが、騙されてくれるだろうか。


「ふーん、あんたみたいな奴がかい。どう見てもただのヒヨっこにしか見えないがね。まあ、いいさ、今は他に客もいないし、知っている奴は全員通せって言われてるからねぇ。気をつけな、地面が開くよ」


 パカっ


「うぉっと!」


 流石にもうこの手のものには爺さんの研究所でだいぶ慣れたもんだ。相当イライラしてでもない限りそうそうヘマはしないつもりだ。


「あら今回のお客さんは随分と可愛らしいのね」


 少し悦に入っていると、前方から声が聞こえてきた。


 その声の主の方をみると、一人の女性が立っていた。

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