第386話 密談(別視点)


「しゃおらぁああ!」


 ドゴーーン!


「相変わらずえげつない威力の拳ですね、アッパーさん。どうですか、この協力体制は? 皆が手を取り合って個人では倒せない敵を何体も倒し、今では第四の街に到着しました。ここいらで一つ、アッパーさんの意見を聞きたいのですが」


「あぁん? 別にいいんじゃねーの? 前より気持ちよく戦えてるし、レベルもそこそこ上がってる。まだ、アイツとザクロに勝てるイメージは湧かないが、このままなら確実に勝てるぜ?」


「アッパーさん、そこなんです。今し方いずれあの二人に勝てる、とそう仰いましたが、本当にそうでしょうか? あの二人は私たちが強くなっているのと同じように強くなっているのです。つまり、普通に強くなるのではダメなのです」


「は? 何が言いたいんだ? だからこうやってやりたくもねぇパーティを組んでるんだろうが。これが普通っていうのか? それともあぁん? もっと速く圧倒的に強くなれる方法があんのか?」


「もし、ある、と言ったらどうします?」


「おいおい、そんな旨い話あるわけねぇだろ。このパーティでもえげつないくらいの効率でやってんだぞ? それに、本当にあるっていうんなら、お前一人でやれよウィズ」


「それがあるんですよ、そして私一人ではできないのです。アッパーさんの力が必要なんです。もし、不利益が出た場合は必ず私が補填しましょう。どうですか? 少しでも興味を持って頂けましたか?」


「お前が言うと、スッゲー胡散臭ぇんだよな。それに、パーティ全体に向けて言えばいいだけじゃねーかよ。なんで俺だけにいうんだ? あん? やっぱりやましいことがあるんだろ? あぁ?」


「ふふふっ、そこはアッパーさんなら分かって頂けるはずですよ。私たち男というのは常にナンバーワンを目指す生き物です。その中で自分に諦めてオンリーワンを目指す人もいれば、どちらも諦めてしまう人もいる。

 でも、ゲームくらいはその夢を叶えたい、そう思いませんか? だからこのような提案をさせてもらったのですよ。自分だけが強くなりたい、そう思うのは至極真っ当なことだとは思いませんか?」


「急に本音を出してきやがったな、初めからそう言えよ。なるほど、話は分かった。ただ、もう少し具体的に説明しろよ。どうやって強くなって、なぜ俺が必要なのか、俺が納得できたら手伝ってあげてもいいぜぇ?」


「そうですか、分かりました。では説明しましょう。ただ、断られた時の保険としてかなりボカして伝えさせてもらいます。それでもよろしいですかね?」


「あぁ、分かったからささっと言え!」


「どうやらある場所に超凄腕の鍛治屋があるそうなんです。そこにある武器や防具はどれも超逸品で、粒揃いだそうです。しかし、そこはそのクオリティに応じて値段も高く、必要素材もかなり高レベルのものを要求されるようです。

 そこで、二人で素材集めをしましょう。私たちだけで装備を整え、パーティメンバーに差をつけるのです。代金の方は私が持ちますよ? どうでしょうかこのご提案、飲んでいただけるでしょうか?」


「鍛治屋かぁ、あんまり考えたことなかったな。確かに、本当に強くなるにゃそこから気合入れなきゃだもんな。分かった、いいだろう。ただし、お前が少しでも怪しい動きをしたらこの話はパーだし、ぜってーお前をブッ飛ばすからな?」


「ふふふっ、怖い怖い。ありがとうございます。では、よろしくお願いしますね。日程は後日またお知らせさせて頂きます。では、今日はこの辺で」

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