第340話 緊急会議(別視点)
「今から、第一回緊急会議を始めます。司会は弓使いのアークが執り行います。よろしくお願いします」
「うっせー、そんな堅苦しいのはいいんだよ! なんで俺たちが集められたのかを教えてくれよなぁ!」
「まあまあ、落ち着いて下さいよ、アッパーさん。ここには頂上決定戦に参加した人たちが集められています。この会議の目的は大方、以前発表があった海外勢の参入等によるものでしょう。皆で仲良く協力し、頑張って海外勢を倒そうと言ったところでしょうね」
「っせー、ウィズ! 誰もお前になんか説明は求めてねーんだよ! アークぅ! しっかり説明しろ!」
「はい、では説明いたします。この会議の目的は先ほどウィズさんがおっしゃった通り、海外勢参入に加え、前回大会優勝者の強さを鑑みたところ、我々の強化が急務であr
「なげーよ! もっと端的にまとめろぉ!」
「ゴホッン、では説明役をかわろうではないか。もともとの発案者は私だからな。皆、知っているとは思うが、私は双剣使いのシャークだ。以後お見知りおきを」
「んなこと、みんな知ってるから、早く説明してくれよぉ。もう、俺ゃ限界だぜぇ?」
「まあ、そう早まるでない。今回の目的はまず、海外勢が参入することに対する対応だ。運営は国別対抗イベントなるものの存在をほのめかしており、我々、日本勢は一致団結する必要がある」
「んあ? なんで日本でまとまる必要があるからって俺らが集まらなきゃいけねぇんだ? んなもん自分たちで強くなればいいだけの話だろうがよおぉ!」
「アッパー、一旦落ち着け。話はそれだけじゃないはずだぜ? 俺もお前もやられたあいつも関係してるんじゃねーのか?」
「チッ、ドラケまでそっちの味方かよ。俺はあいつに負けてねぇ。まだ負け越してるだけだ! 次は俺がぜってー勝つ!!」
「ゴホンッ、今、ドラケ殿が言ったように海外参入だけでなく、前回の頂上決定戦で優勝した彼の影響も大いにある。彼は、我々が最強と思っていた、アッパー殿、ザクロ氏を軽々倒し、優勝した。しかも、その存在を多くのプレイヤーに注目されていない状態で、だ」
「っせー! シャーク! 俺はまだ負けてねーって言ってるだろうがよ!」
「彼にどこか隔絶した強さがあったのは、皆承知の事実。そんな彼を野放しにしておくのは国別対抗戦を控えていることもあり、大変良くない状況である。だが、彼の動向はあのイベントで注目されたにも関わらず掴めない状況だ。
そこで我々が取るべき行動は、彼を野放しにしても大丈夫な実力をつけることだ。そうすることで、多くのプレイヤーの先導者となり、日本のプレイヤー全体の強化につながるのだ」
「……どうだ、アッパー。少しは聞く気になったか? 少なくとも俺たちは一回負けたのは事実だ。しかもボロボロになそれをどうにかするのがこの会議の目的ってことだ。お前も負けて相当悔しいと思うが、一人でがんばっても限界があるだろ? それを俺たちが協力することで乗り越えるんだよ。その後にアイツに勝ち越せばいいだろう?」
「ドラケがそこまでいうなら、わあったよー。ただ、気にくわねぇ、ことがあったら俺は協力しないからな」
「ドラケ殿、アッパー殿、感謝する。今回の具体的な提案内容は、この場にいる皆でクランもしくはパーティを組み、全員でこの世界の攻略に乗り出すことだ。そうすることでかつてないほどに攻略が捗り、素材集めから、装備の用意までもがスムーズに行えるはずだ。
更に、いつもとは違う環境でのプレイにより新たな発見や化学反応にも期待している。そして、来たるべき海外戦に向けての連携強化も同時に行っていく」
「それは、メリットだけを羅列しているだけですよね。現実問題、初対面の方も多くいる中で信頼関係もクソもありませんよ? それに、頂上決定戦に参加した人でここにいない方もおられます。その点どうするんですかね?」
「ウィズ殿の指摘ももっともだ。もちろんデメリットや、欠員についても説明を行う。まずメンバーについてだが、これはもちろん自由参加だ。今回は呼べる人だけを集めた形となったが、コンタクトが取れ次第、参加を要請するつもりだ。ここにいる人で参加したくない者がいれば抜けるのも大いに構わない。
続いて、デメリットだ。一緒に攻略するということは共に戦闘も行うということであり、それがメインになるだろう。しかし、それは自らの手の内を明かすことにもなる。もし、参加してくれる人がいるのならば、もちろん公開する範囲は自由に決めて良い。我々から、公開を強制することもなければ、気に食わなければすぐに抜けていい。
いわば同盟のような者だ。お互いが自分の益になるように立ち振る舞うだけで良いのだ。もとから強固な信頼関係の構築など目指しておらず、ただ、海外と戦えるよう、彼を超えられるよう、皆で協力してはみないか、というだけの話だ。
どうだ、協力してはくれないか?」
「俺は、もとから参加するつもりだ」
「私もです」
「私も参加するつもりでしたよ?」
「わあったよ、やりゃいいんだろ、やりゃ、ただ気にくわねーことがあったら、ソッコーで抜けっからな。ってか、ずっと黙ってるブラックはどーなんだよぉ!」
「小生は参加するつもりでござる」
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