第317話 強敵壁
なにっ!? 俺のパキケファロ頭突きが止められた? しかも魔法によって。くっ、やるじゃねーか。
「あ、」
不味い、このスキル相手を倒せなかったら俺が死ぬんだった。なんとか称号のおかげでHPは1だけ耐えているんだが、俺の今のピンチがバレるとやばい。俺の頭突きが遅いってことは、それよりも速い攻撃手段があるということで、それを使われたら避けられるかどうか……
「あら、顔色が優れていないわね。なにかありましたの? 呆気なく終わるのも味気ないですが、勝ちにいくわよ? サンダーボルテクスっ!」
は、速い! これでは回避が間に合わ……なかった。でも生きてた。そういえば俺は電撃無効持ってたんだわ。無効スキルは存在をすぐに忘れてしまうよな。まあ、使わないスキルを忘れてしまうってだけだ。無効スキルは使ってる気がしないから、なおさらなんだよな。
「あら! まだ終わりじゃないんですね。まだまだ楽しめそうで良かったわ。ところで、今の私の攻撃はどう対応したのかしら? スキルを発動してたようには見えなかったんだけど」
うん、俺ですらスキルを使ってる気はしてないんだ、そりゃ相手に俺が何をしたかなんて分かるわけないよな。実際何もしていないんだし当然っちゃ当然なんだけどな。
俺がなんて返答しようか迷っていると、
「ふふっ、まあいいでしょう。知らないことがある方が面白いわね、私もそろそろ本気でやりましょう」
な、相手の雰囲気が変わった。どうやらまだ本気を出していなかったようだ。この形態が最終形態なのかは知らないが、油断しないにこしたことはないな。気を引き締めていこう。
「【賢者魔法】、剣よりも強き言葉」
聴き慣れない言葉が聞こえてきたと思ったら突如、俺の危険察知系のスキルが反応した。
「うぉっ!!」
っぶねー! 目の前に不可視の斬撃が飛んできた。見えないし、速いし、威力も俺の肌感ではあるがかなりら強かったぞ。聞いたことない魔法だし、これはやばいな。俺もどうにか対応しないとな……
こうなったら俺もいくしかねぇ!
「【従魔武装】! ハーゲン!」
俺に力を貸してくれ! 出てこいっ、ハーゲン!
ドクンッ
そう心臓に音が響いたような気がした。そして、俺の中にはハーゲンがいた。うん、ハーゲンが俺の中にいるのがわかるぞ、例え喋ることができなくたって俺らは繋がっているんだ!
『ん? おれっち、喋れるっすよ?』
おいおいおい、空気を読め。
『って、こんなこと話してる場合じゃねーんだ。相手がかなりヤバそうだからお前の力を貸してくれ!』
『何言ってるかさっぱりっすけど、今ご主人様の中にいるからなんとなくわかるっす! あんまり上手くできるかわかんないっすけど、なんとなくできそうだからやってみるっすね!』
ハーゲンがそう言った後、俺の背中から翼が生えた。
筋肉が盛り上がり、四肢が太く強くなり、姿勢も低くなり、まるで獣にでもなったかのようだ。空を駆けるのか地面を走るのかどっちなのか定かじゃないが、とてつもない高揚感に襲われている。今の俺なら負ける気がしねぇ。
『いくぞ、ハーゲンッ!』
『あ、れっつらごー、っす!!』
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