第256話 第三次世界大戦


 聖なる力と言えば、以前ミノタウロスの所あたりで入手した聖槍というスキルがある。まだ一度も使ったことのないスキルだが効果は、邪悪な存在に対して特別な力を発揮する、というものらしい。


 つまり、今使えということだろう。明らかに邪悪な存在だしな、聖なる槍でぶちのめしてやろう。


「どうしたのですか、急に固まってしまって、今更怖気付きましか? ですがもう手遅れです。恨むのなら自分の失態と非力さを恨んで下さいね。では、さような


「【聖槍】」


 俺はミノタウロスの槍に持ち替え、そのまま近づいてきた吸血鬼の顔面に突き刺してしまった。驚く顔は見れなかったが、それでも顔面に刺すこと自体気持ちよかったからいい。相手はどういう風に俺を倒そうとしてたんだろうな。


 相手が伸ばしてきた右腕に対し、クロスカウンター気味に槍を刺したからな。吸血鬼の攻撃パターンは、これからも戦うであろうから知っておきたかったのだが、後の祭りだ。これからまたどうせ会うだろうからその時でもいいか。


 それにしてもこの家はもともとは人間が普通に住んでいたのだろうか。まさかヴァンパイアに持ち家があるとは思えないし、ここの住民を殺すか吸血鬼にして街に放り込むかでもしたのだろう。


 うん、吸血鬼も悪魔と同様駆逐するべき存在だな。無論そちらにも生きていくために必要な事かもしれないが、反撃するのは普通のことだろう。


 もしかしたら、この世界において、悪魔や吸血鬼の存在は、人類の人口があまり増えすぎないようにする為のものかもしれない。俺らが生きている現実世界では人間が食物連鎖のトップいいる為ずっと人口は増え続けている。


 その止まらない人口増加によってさまざまな問題、例えば食料問題や大気汚染など、が起きている。これは何百年も前からずっと続いているらしい。人類も最初はその問題を解決しようとしていたらしいが。科学の発展によりエネルギー問題が解決した途端、再び振り出しに戻っていったようだ。


 そこには中国が開戦した第三次世界大戦もその背景にあり、ますます問題を大きくした要因の一つでもあるだろう。それは、以前の戦争のように大量に人が死ぬということ自体無くなり、ほとんど全てが電脳戦で行われた。軍事機密や国家機密さらには企業の情報など、ありとあらゆる情報に対し、中国が一斉にサイバー攻撃を仕掛けたのだ。これが第三次世界大戦の発端であり、これを機に科学技術が大きく進歩したのも事実だ。


 話が大きく逸れたが、俺が言いたかったのは世界大戦が勃発しても人口が減らなかったということだ。そのため依然として問題は残り、現在に引き継がれている。


 大昔の人のように、無知ではないのにもかかわらず、こうして過ちを繰り返す。そういった傲慢で学習しない人類に対しての解決策が悪魔や吸血鬼なのかもな。自分達が一番優れているという感覚を打ち砕き、目先の欲望だけでなく、人類が手を合わせて一緒に協力する為に、設けられた存在なのかもな。


 でも、俺は悪魔と吸血鬼両方一人で倒すけどな。

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