第211話 マグマ


 俺が溶岩浴をしていると、急に乱入者がやって来た。そいつは、トカゲ、いやどちらかというとサンショウウオとかイモリの方が近いか? まあ、そっち系の体をした敵に遭遇した。


 俺は優雅に寛いでいたため、慌てて戦闘体勢に移ろうとしたのだが、逆に向こうはこちらに全く敵意を見せなかった。恐らく、溶岩にいるのは味方って言う理屈なのだろう。


 まあ、戦闘にならない分はありがたい。こちらも体力を温存できるからな。


 そう思えば、俺が溶岩にマグマダイブした場所である、魔法陣前から真っ直ぐと、一直線に通路が伸びていた。恐らく彼処に人が通ったら、敵と見なされ攻撃されるのだろう。


 ちょっと俺も紛れて、通行人がいたらちょっかいでもかけてやろうかな。


 そうやって、顔の上半分だけだして覗いていたのだが、なかなか人が通らなかったから、諦めた。んー、でもどうせならちょっかいかけたいよなー。


「あっ」


 そうだ、俺の従魔をここに忍ばせておけば、俺がいなくてもちょっかいかけられるよな? 我ながら良い考えだな。めちゃくちゃ強いモンスターを置いても興醒めというか、面白みがなくなるからな。適度に難しく、違和感の無いモンスターにしよう。


 あれ? でも従魔ってどうやって作るんだ? ここにいるモンスターを現地調達しても味気ないし、かといって外から連れて来ても、この環境には耐えられなさそうだからな。


 ん、改造するか? でも、そうなってくると、元をどいつにするかって言う話だよな。そこそこ強いと強制進化させた時点でめちゃくちゃ強くなってしまいそうだからな。弱い魔物でいい感じの……あっ、いるじゃん。


「【死霊魔術】召喚、【服従】」


 俺はスケルトンを呼び出し、そのまま俺の配下に加えた。うん、とても便利な手駒だな。でも、このままではお察しの通り、マグマに焼かれて死ぬから、強制進化をさせる。素材は勿論、


「【強制進化】」


 マグマだ。マグマを素材に使ったら、流石にマグマの中でも生活出来るだろ、と言う安直な考えの元で実行された。まあ、失敗ならやり直せばいいんだ、何事も挑戦だ。


「従魔:スケルトンがラヴァマンに進化しました。」


 うん、成功のようだ。ただ、俺が思い描いていたのとは少し違った形になったけどな。形はほぼほぼスケルトンのまんまなんだが、体が全てマグマで出来ているのだ。そのため、触れるのも容易ではなくなるし、斬っても斬っても死ななくなってしまった。


 まるでスライムのような体にスケルトンの不死性とマグマを足して三で割ったみたいになったな。こいつなんだかんだ使えそうだな。それにこのままどんどん進化させていけば、かなり大物になるのでは? 何にでも対応出来るモンスターになりそうだ。


 試しに、溶岩に潜らせてみると、完全に見えなくなった。というか溶けた?


「おーい、ラヴァマン! 返事してくれ、今どこにいる?」


 俺がそう呼びかけると、超巨大で大きなマグマの塊が突然隆起して来た。どうやら、マグマを自在に操れるようだな。自分のマグマと周りのマグマを合わせて、超巨大な体を作ったようだ。


 もう、なんでもありだなこいつ。まあ、マグマってそこら辺にはないからそこまでの脅威には成らないけど、マグマで戦わせたらこいつの右に出るものなんていないんじゃないか? マグマそのものでも十分驚異があるのに、それらが指向性を持って追いかけて来られたらたまらんぞ?


 それに本体は斬っても死なないし、マグマがあれば完全に同化出来るし、


 あれ? 強すぎない?

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