第198話 煽りと格差
「はっはっはっはーー!! 本当にデカイのは口と声だけのようだな! そんな小さな体で何が出来るというのか!! 小さすぎてようやく見えたしのう、さっさと握り潰して帰るかの! この儂に無礼な口を叩いたからの、生かしてはおれんの」
そう言って、のっそのっそ俺の所まで歩いて来ては、その巨大な右手で俺を潰そうとて来た。ここの巨人どもは自分よりも小さい奴に出会ったら、取り敢えず握り潰せっていう教育をしているのか? 物騒だなおい。
まあ、俺とハーゲンなら余裕で躱せるけど、まあ、ハーゲンは退場してもらって、俺から握り潰される。そっちの方が分かりやすいだろうからな。どっちが上か。
グチョッ、グリグリグリ
こいつ、一応の為にグリグリしすぎだろ。そんなに死んでるかどうか不安で、一握りでは殺せる自信が無いのかよ。ほんとデカイのは体だけだな。悪口言っただけで殺すのも、器が小さい証拠だしな。早く手開けろよ、普通に臭いし。
ふぅ、やっと開いたか。では、
「おい!! お前の手臭いな! 大きな体してるけど、握力は弱いんだな! それとも、俺の体が丈夫なだけか? やっぱりデカイのは体だけだな!」
もう敵を倒したつもりだったのか、もう和気藹々としたムードを発していたが、そこに俺が声を発すると、場が凍り、首領を含めて全員が俺の方を向いた。どうやら、本気で俺をやれたと思って疑ってなかったらしいな。頭の中までお花畑で何よりです。
んーここからどうするのが正解なんだろうな。正直よくわからんが、適当に煽って怒らせて、俺に攻撃して来たところを返り討ちにすればいいか。よし、
「あれー? 大きな体だけど脳みそは小さいのかなー? 俺がまだ生きてるってことすら理解出来ないとは、脳みそが猿程度、いやこれくらい猿でもわかるか、なら、そこにあるのはなんだ? 帽子をのっける為だけの台かな?」
「ぐぬぬぬぬー!! もう、許さぬぞ! 儂に向かってなんたる口の聞き方、タダで死ねるとは思うなよ。お前ら、下がっておれ。この様な虫ケラ、儂一人で十分じゃ」
怒り方まで満点だな。それにしても、虫ケラに煽られてのせられていること、そして虫ケラ如きにわざわざ首領がいるのかということ、他にも突っ込みたい事は沢山あるが、まあいいや。一対一を御所望なら、そうしよう。
全員に襲い掛からせていたら、自分の所為にしなくて済むのにな。まあ、そこまで考えてないだろうし、まだ本気で自分が勝てると思っているのだろう。
こっちは厭離穢土を使って、一瞬の内に消し炭にしてもいいんだが、流石にそれだといろいろ可哀想だし、別に周りの奴らに対しては何も感じてないから、そいつらだけ残してもな、って感じだから。適当に首領をやっちゃいますか。
「大丈夫か? 虫ケラ如きに一人でやられたら、面目立たねーぞ? それとも玉砕覚悟の特攻ですかー? そうだな、俺はこっから一歩も動かないでやるから、いつでもかかって来ていいぞ。これなら少しは楽しめるかな?」
「ふっ、減らず口を! 儂が虫に負けると思うか? ハンデなど、こっちにあるべきだろう。虫は虫らしく黙って死ねぇい!」
そう言って、巨人は腰から、またもや超巨大な剣を抜き放ち、俺に向かって突進して来た。
まあ、そんだけフラグ建てたら、未来も見えるよな。
さて、回収しますか。
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