第98話 爺さん宅


 痛たたたー……どこだここは、変な機械音が聞こえてきたと思ったら、急に床が抜けたぞ。それに結構な深さがあって、結構長く落ちてた感じがする。実際はそんなことはないかもしれないが……びっくりした。


 それよりも、急に落とすなんてどういう神経してんだ? 仮にもお客様だろこっちは、どういう扱いしてるんだよ。気休め程度にマットがあった。でも、なぜか痛くない。そういうモノなんだろうか。


 まあ、いい、落ちたことは最悪どうでもいいのだ。それよりも落ちた場所の方が大事だ。ここはどこだ? なにやら超近未来的、というか、何かの研究室のような、科学室のような部屋だ。まさか、あんな古民家にこんな場所が隠れているとは思わなかった。


 いや、ちょっと待て、俺はお爺さんに悪魔の話を聞きにきたんだよな? なんでこんな場所にいる? 俺が想像していたのは、畳の部屋でお茶でも飲みながら、昔の悪魔の伝承や爺さんの体験談についてまったり話してもらうのかと勝手に思っていたのだが……


 え、どういうこと? 全く理解が追いついていないぞ。誰か、誰でもいい、最悪機械でもいいから説明してくれよ! おい、誰か!


「ふぉっ、ふぉっ、ふぉー。随分戸惑っておるのう。まあ、この状況で戸惑うなという方が無理かの? まあ、それより悪魔の話を聞きにきたんじゃろ? ギルドから話を聞いておるわい。儂の話やここのことも含め話してやるから、取り敢えず椅子にかけるのじゃ」


 お、おう。なんか白髭を伸ばして、白衣を着た小柄な爺さんがやってきた。


「お主は悪魔を倒したようじゃの。まあ、ここには悪魔を倒した者しか入れんからのう。当たり前じゃがの。ふぉっ、ふぉっ、ふぉー」


 この爺さん、癖が強い。それに、その話によるとこの爺さんも悪魔を倒したことがあるってことか? とてもそんな風には見えないけどな。まあ、人は見かけによらないってことか。


 俺がそんなことを考えながらボーッとしていると何やら画面が空中に表示された。まるでステータス画面みたいに。


「お主には、悪魔について説明してやろう。悪魔とは基本的に実体がないものなのじゃ。その為、人に取り憑いたりすることで悪さをしたりするのじゃ。普段は人に紛れておって気づかんのじゃ。

 そして、悪魔には位というものがあっての、それが高ければ高いほど、より強くあらゆる物に取り憑けるようになるし、取り憑かんでもとても強いのじゃ。

 逆に、格が低い奴ほど、実体を現してしまい、物理攻撃とかも効きやすくなるのう。お主が倒したのも、恐らく剣が効いたじゃろ? 剣が効くのは下から二番目の位までじゃな。

 位は下から、騎士爵、準男爵、……」


 長すぎるので割愛する、というか入ってこなかった。また、大体貴族の序列と同じなのは分かった。最初の騎士爵と準男爵は初めて聞いたが、その後は男爵、子爵、伯爵、侯爵、公爵と続いていく。その続きも言ってたような気がするけど、まあ、そんくらいだろう。


 それよりも気になるのは強さだ。俺が剣で倒したのが、下二つのどちらかかは分からないが、それでも全悪魔からしたら相当弱い方だったのだろう。どうしよ、勝てるビジョンが全く見えないな。剣が効かないなら、魔法か? 魔法しか効かないならかなりまずい。しかも俺、爆発魔法だけだからほぼ物理攻撃みたいなもんだろ。どうすればいいんだ?


「ほれほれ、お前さん。顔に俺はどうすればいいんじゃ、って書いてあるぞ。まあ、そう焦るではない。悪魔に対抗する手段がちゃんとある、安心するのじゃ」


 やっば、俺、そんなに顔に出てたのか。って、対抗手段あるのか。それは良かったな、それを使えば俺も悪魔に対抗できるんだな? 早く教えてくれ!


「そうやって、焦りなさんな。いつでも冷静にすることが大事じゃぞ、特に悪魔となんぞと戦おうとするならば、いかなる時も冷静にならんといかんぞ。分かったか?」


 なんだよこの爺さん、早く教えてくれよ、そんなこと分かっているに決まってるだろ!

 

「まあ、それくらいは分かっておるか、当たり前のことじゃしの。ではお主に悪魔に対抗する手段を教えてやろう。ただ、この力は危険でもある、もしかしたら、お主の存在が消えてしまうかもしれんぞ? それでもやるか?」


 そんなにやばいのか、まあ、俺はプレイヤーだから最悪なんとかなりそうだが、それでもかなりリスクはあるのだろう。


 だが、ここまで来てやらないという選択肢はない。悪魔を倒したいし、俺自身さらなる強みを手に入れたい。


「勿論、大丈夫です。是非私に教えて下さい」


「ふぉっ、ふぉっ、ふぉー。凄いやる気じゃの。その熱意に応えて儂も教えるとしようかの。悪魔に対抗できる、力を」

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