第100話 シーズン1(完)
ケンドールは大型ショッピングモールと立体駐車場だった建造物を再利用した集落だった。
集落への入り口は立体駐車場側で、大型ショッピングモール周辺は数千台の廃車を積み上げ、隙間を鉄板で夭折した壁で覆われて侵入を塞いでいる。
積み上げられた廃車や立体駐車場の屋上などに廃材で組み立てられた見張り台があり、防寒具を着た見張りが行商隊たちに銃を向けて警戒している。
立体駐車場の入り口も廃車で塞がれており、どこから入るのかとミオンが見つめていると、ケンドール側の警備と行商隊との話し合いが終わったのか、クレーン車で廃車を持ち上げて入り口が解放され、行商隊の輸送トラックと私兵チームが集落の中へ入っていく。
「あれ? 僕達は入らなくていいのかな?」
行商隊は集落の中へと入ったが、護衛の雪豹チームは誰一人と集落へ入る様子はない。
『今日は此処で一泊し、明朝六時に此処を出立する予定だ! 集落だからと言って気を抜かないでくれ。突然の非常事態になったら直に連絡が取れる様、各チーム無線機を肌身離さず行動しろ。それと出発前に述べたとおり、我々は南側の調査もギルドから任されている! 集落へ入る予定の者は情報収集も頼むぞ!』
『こちらゴールデンバック、全員中に入らないのですか?』
どう動けばいいのかとミオンが戸惑っているとクルセイダーから通信が入り、急速に入る連絡が来る。
ミオンは慌てて通信用のマイクを手に取ると自分達は中に入らなくていいのかと質問する。
『そういえば……ミオンは護衛依頼初めてだったな? 全部の車両を門の中へと収容してしまったら、外から暴走した警備ロボなどの襲撃を受けた時に外へ出るのに時間が掛かるだろう?』
『なるほど……』
デビスが自分達が集落に入らない理由を述べるとミオンは納得する。
何かあってもクレーン車で入り口を塞ぐ廃車をどかさない限りは出入りは出来ないし、入り口の広さから一気に飛び出すことも難しいだろう。
『他に質問はないか? 休憩に入る』
『了解!』
休憩宣言が入ると各車両から雪豹たちが降りてきて伸びをして体をほぐしたり、片手にポリタンクを持ってドラゴンエッグに向かう人たちがいた。
「すまんがトイレ貸してくれるか?」
最初にやってきたのはアウターヘブンのカガミだった。
それをきっかけに次々と各チームのメンバーがトイレを借りに来て、トレーラーハウスの内装に目を白黒していた。
「ミオン、よかったら集落の中散策しない?」
「一緒に情報収集しましょう」
ミオンがトイレを借りに来る雪豹たちの対応をしているとリディとイザベラが声をかけてくる。
「こっちはあたいらが見張っておくから、ちょっと情報収集の練習してこい」
「うちはメタルライドと車両の点検してるわ」
「護身用の銃と~、交渉用の弾薬と食料忘れずにね~」
ターカー、リン、アリスの三人がドラゴンエッグに残ると言ってミオンを見送る。
ミオンはリディ、イザベラと共に立体駐車場の入り口を抜けてケンドールの集落へと足を踏み入れた。
~~シーズン1終了~~
雪豹物語 パクリ田盗作 @syuri8
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