第9話 トラブル発生


「ひゃー、前のよりあったかいな」


 翌日、ミオンは雪堀に参加しており、新しい防寒具の熱効率の良さに機嫌をよくしていた。


『ポイントを表示します。比較的浅い層から掘り当てていきましょう』

「ARゴーグルって便利だなあ……PDAの時はちょっと見間違えて座標がずれたりしてたからなあ」


 ゴーグル越しに反応のある雪の場所に色が塗られていくのを見て、ミオンは呟く。


「正規品のシャベルは凄いな、自作のシャベルよりも掘りやすいし、持ちやすいよ」


 ギルドショップで購入した雪堀用のシャベルで雪を掘るとジャンク品をかき集めて作った自作のシャベルよりも掘りやすく作業効率も高くなる。


「これは……?」

『愛玩型の動物ロボットですね』


 作業開始して十分ほどで雪の中から犬の形をしたロボットが出てくる。


「とりあえず、売れるなら何でもいいや。ここはまだ掘れる?」

『奥底に反応がありますが、人の手では数日掛です。次のポイントへの移動をお勧めします』


 掘り起こしたロボットをソリの荷台に乗せて、ミオンは次の反応場所へと向かう。

 そして、次のポイントに辿り着き、さあ掘るぞと思った瞬間、近場で爆発が起こる。


「うわっ!? なっ、なんだ!?」

「不発弾叩いた馬鹿が出たぞ!」


 どうやら雪豹の誰かが埋まっていた不発弾の信管を叩いて爆発させてしまったらしい。

 爆心地はクレーターができており、爆発に巻き込まれた人たちが蹲っていた。


「おいっ! 穴の近くにいるやつはすぐに離れろっ! 飲まれるぞっ!!」


 遠くにいた雪豹の一人が叫ぶ。

 それと同時にクレーターの穴に雪が流れ込んでいき、小規模の雪崩が発生し、怪我をして動けない雪豹たちが雪崩に飲み込まれていく。


 同時にゴゴゴゴと地鳴りと揺れが発生し、爆心地と関係ない場所の雪が盛り上がり、雪の中からインセクタータイプの警備ロボットが現れる。

 それを皮切りに他の場所からも次々と警備ロボットが雪の中から這い出して来る。


「くそっ! 今の爆発で寝てた警備ロボットが起きやがった!!」

「戦闘車両やライドメタルを持ってる奴は応戦しろっ! アサルト持ってる奴は弾幕を張れっ!!」


 雪豹たちが怒声や悲鳴を上げる。

 輸送用の大型トレーラーを護衛していた戦闘車両やライドメタルが武器を構えて、応戦する。


 警備ロボット達は逃げ惑う雪豹たちをターゲットに搭載された火器で攻撃しようとするが、長い年月雪の中に埋もれて整備も受けていなかったことから動作不良や銃身に雪が積もって暴発する機体もあった。


 それでも何割かの警備ロボットは運よく……雪豹たちからすれば運悪くだが、暴発も動作不良もなくドパパパパと轟音とともに弾をばらまき、雪豹たちが血煙を上げて蜂の巣にされていく。


『マスター、撤退を』

「わかってるって!!」


 ミオンは掘り当てた犬のロボットを放置捨てトレーラーに向かってジグザグ曲がりくねりながら走る。


「え?」


 走っている時、急に足元の感触が無くなる。

 雪に埋もれた空洞の上を走ったのか、ミオンは突如開いた穴の中に落ちていった。

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