第28話
「王太子オリバー。
王太子妃アイラ。
殺す前に最後の確認をします」
「え?」
「は?」
「二人のこの所業は、国王陛下もご存じの事ですか?
もしご存じならば、さすがに黙っておられません。
名誉をかけて戦いを挑ませていただきます。
王家と私の戦争です!
覚悟して答えなさい!」
「え、あ、へ?
アッハッハッハ。
愚か者め!
王家に逆らって生きて行けると思っているのか!
この愚か者は王家に叛意をあらわしたぞ!
殺せ!
成敗するのだ!」
「そうです。
王太子殿下の申される通りです!
なにをしているのですか?
それでも近衛騎士ですか?
さっさとオリビアを殺しなさい!」
王太子とアイラがうるさく騒いでいます。
聞くのも汚らわしい悪口雑言を並べ立てています。
もう潮時ですね。
「どうか、どうか、どうかお待ちくださいオリビア様!
国王陛下はなにもご存じではないのです。
全ては王太子殿下の独断なのです。
今度こそ王太子殿下は廃嫡されると思います。
厳しく罰せられと思います。
ですから、どうか、命ばかりはお助け下さい」
「今まで貴男たちはなにをしていたのですか?
最初にこの地を侵略しようとした日から、もう二十日も経っていますね。
その間国王陛下には伝えなかったのですか?
それとも、国王陛下に伝えたにもかかわらず、陛下はなんの対策も取られなかったという事ですか?
それは、貴男方も陛下も、あわよくばこの地を奪ってしまおうと考えていたのではありませんか」
「違います。
それは違います!
我々は王太子殿下の近衛騎士として、殿下を裏切ることができなかったのです。
国王陛下に讒言するような汚いことができなかったのです。
領地を侵略する心算など毛頭ありませんでした」
「もはや語るにも値しません。
己可愛さに諫言する勇気もなく、暗愚な主君を暴走させるなど、臣下として何の価値もありません。
しかも自己弁護して助かろうなどと、卑怯卑劣にもほどがあります。
私が引導を渡してあげましょう」
「お待ちください。
このような汚らわし者たちの処分は、家臣である私の役目です。
お嬢様は城にお戻りください。
これ以上汚らわしいモノを見る必要はりません」
「それは違いますよ、ジョージ。
私はこの地の領主なのです。
領地で起こった大事を全て知ったうえで、処置を決め命じる責任があるのです。
これから行う事は、家臣任せにできるような些細な事ではありません。
最悪の時には、私をかばって全責任を負うつもりでしょうが、それは私を卑怯卑劣なモノに貶める事です。
今後そのような事は二度と言わないように。
いいですね!」
「考え違いをしておりました!
もう二度とこのような過ちはいたしません!
どうかお許しください!」
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