第6話
「ダメよ!
アカとアオは私のお友達なの。
大地の精霊ベヒモス様が私に使わしてくださった護衛なの。
絶対に手を出してはダメ!」
「本当、なのですね?
間違いありませんね?」
ジョージが念を押してきます。
ジョージも私をとても大切にしてくれていますから、当然ですね。
ジョージが安心できるようにしないといけませんね。
「本当に大丈夫なのよ。
絶対に間違いないわ。
ほら、この通りよ」
私がアカとアオを優しくなでてあげます。
アカもアオも甘えてゴロゴロと声を出してくれます。
お腹を上にして服従の態度まで示してくれます。
ジョージが眼を剥いて驚いています。
少し残念ですが、アカとアオから見れば、ジョージは警戒にも値しない、お腹を上にしても大丈夫な弱者なのです。
「これは!
分かりました。
お嬢様の言葉を信じましょう」
「そんな!
なんてことを言われれうのですか?
臆したのですか?
ジョージ様!」
「臆してなどおらん!
絶対に勝てないと分かっていても、戦う覚悟がある。
お嬢様のためなら、いつでも死ねる。
だが命は一つしかない。
無駄に捨てるわけにはいかん。
この魔獣たちはお嬢様に絶対服従しているのは間違いない。
だから戦う必要はない」
「そんな!」
ジョージの言葉にエミリーが絶句しています。
なかなか信じられないのも仕方ないですね。
朝私にあいさつに来たら、いきなり強大な魔獣がいるのですものね。
でもジョージはさすがですね。
勝てなくても相手の強さと考えが分かるのですね。
「ジョージが認めてくれたところで、今日の予定を決めたいのだけれど」
「はい。
ですがしばらくは、ゆっくりしていただくつもりでいたのですが?」
ジョージは本当に優しいですね。
心労の激しかった私を、思いやってくれていたのですね。
それくらい表情に心労が現れていたという事かもしれません。
ですが今は違います。
アカとアオと辺境の野山を駆け巡りたくてしかたがないのです。
「はい、私もこの子たちをベヒモス様が使わしてくださるまではそのつもりでした。
ですがベヒモス様がこの子たちを差し向けてくださったので、いざという時に間違う事にないように、この子たちの実力が知りたいのです」
「承りました。
私はお嬢様のお言葉を信じておりますが、側仕えや侍女たちはそうはいきません。
護衛の騎士たちも同様です。
全員に知らせ納得してもらうまでに少々時間がかかります」
「ええ、分かっているわ。
私はそれまでの間に身嗜みを整え朝食をすませておきます。
私の希望は狩りよ。
アカとアオがどれくらいの魔獣を狩れるのか確認するわ。
そのつもりで側仕えと騎士に話をしておいてね」
「承りました」
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