11 サヤ/沙耶

目が覚めると視界いっぱいに結子の胸があった。暖かくて柔らかい感触を全身に感じる。おしりと頭の後ろがちょっと痛い。

「沙耶。おはよう」

頭の上から澄んだ綺麗な結子の声が降ってくる。

「おはよう。あれ、どうやって帰ってきたんだっけ?」

おいしいシャンパンを飲んでからの記憶がない。健司の無表情な顔だけが頭に浮かぶ。

「さあ?気づいたらとなりで寝てたよ」

結子が困った顔をして言った。

「あのね、シャンパンがね、とってもおいしかったの。今度一緒に飲みに行こう」

結子がすべすべの綺麗な手であたまをやさしくなでてくれる。うれしくて彼女の胸にキスする。



二限目の講義は健司と同じはずなのに見当たらない。健司が講義をサボるなんてめずらしい。これじゃあんぱんも牛乳も買ってきてもらえない。

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