24.8

 今日は使用人達に話を聞いた。彼らも、やはり初めて子に呼んでもらえた時は涙が出てしまったらしい。他にも、初めて這って動いた時、初めて寝返りを打った時、初めて立ち上がった時。育児には数多くの初めてがつきものであり、そのすべてが喜ばしいことだと彼らは言っていた。

 まだ親として未熟だが、その気持ちは分かる気がした。初めてルッツの顔を見た時は、ヤンが無事でいてくれた安堵もあるが、初めて目にする我が子と思うと、涙が溢れて止まらなかった。ヤンに泣き虫な父だと言われてしまったことを、よく覚えている。その時に握ったヤンの手のあたたかさも、ルッツの寝顔も。

 この日記を書き始めて良かったと思う。ヤンとルッツ、使用人達、両親への感謝を改めて確認できた。

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