Mai

1.5

 忙しい時期がやってきた。月末は診療所なども月毎の業務の締め作業があるだろうから仕方ないとはいえ、月初に注文が殺到する。俺の仕事を任せられる者には出来るだけ居てもらうようにしているが、それでも当主となったばかりの頃は目を回したものだ。今ではなんとか要領を掴むことができ、昔のように徹夜続きにはならなくなったが、やはり覚悟は要る。

 それでも皆が、俺が出来る限りヤンのそばにいられるようにと気遣ってくれている。子育てがある程度落ち着いたら、何か礼をしたい。


 いつ会えるのかとつい浮かれてしまうが、ヤンがこの子は慎重な子なのかもしれないと言っていた。お腹の中で周りの声を聞いて、もう大丈夫と思えたら会いに来てくれるのだと。そういった、ヤンの何事も前向きに捉えるところには昔から救われている。昔から俺は何かと物事を悲観的に捉えることが多かったから、なのかもしれない。しかし自然と、ヤンの言うように全てが悪いこと、予兆ではないのだと思えてくる。

 俺も少しは前向きになれただろうか。

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