21.4

 プレゼントの買い出しは無事に終わったようだ。休みを与えたハンスに頼んだから、二人に悟られることは無かった。ヤンも俺も私室は自分で掃除することにしているから、部屋に置いておけば隠し切れる筈だ。

 ヤンには、料理人達との相談を任せてある。簡単な料理ならヤンも作れるし、何よりヘレナのそばにいたヤンなら、彼女の好みも知っているだろうと考えて頼んだ。料理人達も気合が入っていたが、テオドールとヘレナの前ではいつも通り過ごすようにと念を押した。気持ちは分かるが、今知られてしまっては面白くないだろう。


 あれからのヤンは落ち着いた様子だ。楽観はできないが、かといって俺が気を張り続けていてもあいつには悟られてしまう。ヤンが何かを楽しんでいる時には、一緒に楽しみたいし幸せに寄り添いたい。

 不安な思いはさせないように、しかし気を遣い過ぎないように。難しいことだが、ヤンに対してだけは出来る気がしてくる。今はパーティーの準備を楽しんでいるようだから、俺も全力でその日を良いものにしよう。

 そして、その後はヤンと二人でゆっくり過ごす日を作ろう。


 パーティーの為にも仕事は出来る限り終わらせておきたいが、今は無理をすべきではない。俺が倒れてはすべてが台無しになってしまう。

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