16.4
取引先への訪問は未だ緊張するが、前ほど苦ではなくなった。これも、ヤンと新しい家族、友人達、使用人達のおかげだと思う。テオドールとヘレナの話を聞いて、更に頑張ろうと思えた。当主になったばかりの頃は、自分が何を話しているのかすら分からなくなるほど頭が真っ白になり、父はそんな俺を見て少し不安になったそうだ。ある意味当然だと思う。
仕事を教わった時には、経験の差もあるのだろうが、父は堂々としていた。とても格好良く見えた。父のように、皆に慕われ周囲に認めさせる程の実力を持つ当主になりたいと思ったものだ。遠い夢だが、叶えたい。叶えてみせる。
俺も格好良い父親になりたいのだとヤンに話したら、それなら自分は優しい母親になると言ってくれた。俺が父の背中を追うのなら、ヤンは母の背中を追うのだと。ヤンにとって俺の両親はヤン自身の両親でもあると言っていた。父と母のように、そして俺達らしく、一生を共に過ごしたい。
こんなにも愛おしく思うのはヤンだけだ。俺と出会ってくれたこと、俺の家族になってくれたこと、ヤンの家族にさせてくれたことに、感謝の気持ちでいっぱいだ。
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