第81話 金

ね~ね~



「ほらっ、見て見てっ」

「んー…? どしたの?」



じゃ~んっ



「会社で金メダルもらっちゃったっ」

「うわ…、それ百均の金メダルじゃん。安っぽいなぁ…」



も~…



「せっかくもらったのに、ケチつけないでよぉ…」

「ごめんごめん。で、いったい何をしたのさ?」



むふ~



「社内女子腕相撲大会で優勝しました」

「優勝すんなや」



は~っ?



「なんでよ~っ?」

「可愛げがない」



ぐぬっ…



「それは考えてなかった…」

「…まぁ。アンタから"や~ん、アタシ重いもの持てな~いっ"とか言われても、"…は? 嘘つけっ"ってなるけどね」



む~っ



「じゃあ、あんたは金メダル取ったことあんのっ?」

「…なにそれ、怒る矛先が違くない?」



うがぁっ



「あるのっ!?」

「怖っ! ないないっ、生まれてこのかた才能とか評価されたことなんて…。………、あー」



あ~っ!



「その顔は思い出した顔だなぁ~?」

「いや、ちょっとこれは恥ずかしい…」



むむっ?



「それはぜひ聞きたいなぁ~。さぁ言えっ! 言わないとご飯作らないぞ~?」

「はいはい、わかったわかった…」



むふ~



「いつの時よ?」

「…中学の頃」



むふふ…



「なにで?」

「…"お母さん大好きっ"作文コンテストで」



…?



「"お母さん大好きっ"作文コンテスト?」

「…おう」





「中学生で?」

「…お、おう」





は~っ!?



「かわいすぎかよっ! ふざけんなっ!!」

「なんで怒るっ!?」

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