第8話 アイリスの教科書
アイリスの教科書はラノベでした。
「しっ、知らなかったわ。食パンを咥えて走っても、入れ替わらないだなんて!」
それは、アイリスにとってはガッカリの連続でした。
アイリスは本気で転校初日にパンを咥えて走っていて、
男子生徒とぶつかると、中身が入れ替わると思っていたのです。
他にも、ドアを開けずに上下すると気が付けば異世界にたどり着くエレベーターを日本の北芝電機が開発したとか、日本には週末になると異世界と繋がる和食屋さんがあるとか、毎週チートスキルをお届けしてくれる週刊誌がバインダー付きで創刊されているということを結構本気で信じていたのです。
それら全てが創作だと知り、アイリスは少し大人になった気持ちになりました。
たとえそれが誰かの妄想だったとしても。
創作物として素晴らしいものであることには変わりがないのですから。
また1年が経ち、アイリスはすっかり一般常識のある女性へと成長していました。
もうスマホを片手に異世界へ行けるとは思っていません。
それと同時に、自分が身につけているおっぱいは、
実は凄い武器だということを自覚したのです。
老若男女を問わず、誰もがアイリスのおっぱいの前に跪きます。
もしゼロ距離まで近付いたら、窒息してしまいます。
それはそれは、恐ろしい武器なのです。
「このおっぱいがある限り、悪の栄える隙間なし!」
アイリスの少し変わったところは相変わらずのようです。
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