第45話 幼馴染同士で幼馴染しよう(4)~やっぱり普段通りで~
「コウ、朝やよー」
ぼんやりとした意識の中で、真澄の声が響く。
「こうして見ると、寝顔、かわええな」
髪を何故かかき上げられる。
「こういうのも、ええもんやな」
何がいいのだろうか?
首元で鼻をすんすん鳴らしている。って
「何してるの、真澄」
「そ、その、ええ匂いやなって」
「最近の真澄は、ちょっと変態だよね」
「変態って、そんな……」
途端に狼狽する真澄。
誕生日のあの日以来、妙な性癖が板についてきた気がする。
そんなところも可愛かったりするのだけど。
ぎゅ。と、真澄を抱きしめる。
彼女の身体のぬくもりが伝わってきて、心地が良い
「そういうところも可愛いよ」
「もう。そういう褒め言葉が板について来よったね」
顔を赤らめながらも、まんざらではなさそうだ。
ちょっとした事でも真澄が愛おしく思えてきて、どんどん毒されてる気がする。
真澄の顔を引き寄せる。意図に気づいたのか、すっと目を閉じる。
艶やかな唇に、すべすべの肌。そして、少し赤くなった頬。
待つように閉じられた瞼。
そんな彼女に、僕はゆっくりとキスをしたのだった。
「なんや、以前はもうちょい緊張してた気がするんやけど」
ジト目で見られる。
「それは真澄もだと思うよ」
以前はもっとあたふたしていた気がする。
「うちらも変わってきたんかな」
付き合い始めの頃を思い出したのだろうか。
「それでいいんじゃないかな。にしても……」
「どしたん?」
不思議そうに僕を見つめてくる。
「いや、色々「幼馴染ぽいこと」を試したけど。やっぱり普通がいいなって」
「そんなの当たり前やろ!」
脳天にチョップを食らう。
いたた。
「あ、でも。世話焼きは良かったから。たまには」
あれは何か違う良さがあった気がする。
「ウチのこと性癖がどうこう言っとったけど。コウも大概やな」
呆れたようにため息をつかれる。
「ダメかな?」
そう言いつつ、否定されることが無いのはわかっているのだけど。
「ダメやないけど。そういうのはほどほどにな」
やんわりと、そんなことを言われたのだった。
※この章は、これで終わりです。
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