無能聖女ヴィクトリア

作者 焦田 シューマイ

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★★★ Excellent!!!

昨今主流の承認欲求ポルノ的な不快感が最後まで一切無く、はやみねかおるや深沢美潮作品と見紛う程に品が良い。

また作品としての山場の作り方が秀逸であり、登場人物の役割も明確で、容姿や性格もイメージしやすく、これでもかというくらいに王道の作品。キッカリ2時間の映画の原作の様。

ただ1つ難を言うなら、「北方は魔物だらけ」=「魔物が存在する世界観」という描写があるのに対人戦闘しか描写が無かったり、「魔術」という概念だけでも話を成立させられたのにわざわざ「呪術」を用いた暗殺が行われたり、ピンチや騒動の解決とヴィーの能力に直接関係がない等、折角描写した設定がそのまま放置され、「広げた風呂敷が広げたっぱなしになっている」点が散見される。

初見の読者には重要な設定とそうでないものを見分けられないので、物語と直接関係の無い情報をもう少し整頓すべきだったかもしれない。


個人的には、変な能力とかはもっと下品なラノベに任せて、「なんの特殊能力も無く先見の聖女の庇護だけで聖女になったヴィーちゃんが持ち前の洞察力(それを物見の能力として先見の聖女がとらえている)と知恵と勇気で事態を収拾する話」みたいな王道ストーリーに徹しといて欲しかったと思う。



こういう批判じみた見解を敢えて述べたくなるくらい、良い作品でした。