273ページ目…護衛依頼【3】
「ってな訳で…この階層からは、対魔族用の装備が入手出来る様になりますよ。
まぁ、必ず手に入る訳じゃないんで、ちょっと面倒ですけどね。」
と、僕はみんなに目的の階層に達した事を伝える…とは言っても、若干、二名ほどオマケが付いているのだが…。
「…ところで、お二方は何時まで付いてくるつもりなんですか?」
付いて離れず…とでも言うかの如く、先程、ゴブリン達を引き連れてきた冒険者パーティーの生き残りである二人に声を掛ける。
「はぁ~!?お前何言ってんだ?
「そうですね…まぁ、確かに付いていく様な感じで同じ方向に進んではいますが…ですが、同じ方向に進んではいけないと言う理由もないですよね?」
と、付いてきているのを否定する二人組…まぁ、パーティーを組んでいたメンバーがトラップであるモンスターハウスの所為で、彼ら二人を残して全滅しているのだから、どうしても戦力不足で、このままではダンジョンの攻略が出来なくなるのは仕方がない事かも知れないが…。
「貴方達、これ以上ついてくる様でしたら、こちらの依頼主同様に護衛の代金を頂きますよ?
本来なら冒険者ギルドで正式な依頼を…と言いたい所ですが、ダンジョンの中ですので、口約束での依頼になりますが。」
と、プリンも注意する…って言うか、注意だけじゃなく護衛の依頼を…と言う辺り、僕よりも逞しい話だ。
「はぁ?だから、そいつにも言ったが『偶々』同じ方向に進んでるだけだった。」
「私としては依頼するのも
と、二人組は再度、付いてきているのを否定をする。
「そうですか…では、あなた二人組方が先にどちらに進むか決めて頂きましょうか…私達は、そちらと反対の方に進むと致しましょう。
「えぇ…私はどちらでも構いません。
カタリベ殿は、どうですか?」
「えっと…僕はどちらでも…まぁ、プリンの言う通り付いてくるなら護衛代を頂くだけですね。
そうじゃないと、僕達に正式に依頼をしているアイアンさんの顔が立ちませんから…。」
と、僕は言っておく…そうじゃないとアイアンさんはお金を出して護衛の依頼をしているのに、トレインにて巻き込んだあげく無料で護衛なんて言うのは、あまりに理不尽だからだ。
まぁ、護衛を…となった場合でも、プリンがトレインでの迷惑料を上乗せする事になりそうだが…。
「チッ…だったら、俺達は右の方に進む事にする。」
「仕方ありませんね…私達は右ですか…。」
「そうですか、では、私達は左側ですね。」
二人組が進む方向決めたのでプリンは左側の道を進む事を決めた様だ。
「それじゃ、お二人とも気を付けて…念の為に言っておきますが、この階層からは魔物も強くなりますので今まで以上に注意した方が良いですよ?」
その注意を聞いて二人組の喉が『ゴクリ』と鳴る。
まぁ、魔物が強くなるのは事実なので嘘は付いていないが…少し、脅しすぎたかもしれない。
「では、お二方もお元気で…カタリベ殿、プリン殿、先へ進みましょう。」
「そうですね…これで護衛に専念出来ますわ。」
「クッ…じゃーな!」
「それでは失礼します。」
一部、イラっとする人もいた様だが、これで元の護衛の依頼だ。
気を取り直して、頑張ろうと思う。
こうして、僕達は別れて冒険する事になったのだった…。
◇◆◇◆◇◆◇
「あなた…。」
プリンが小さな声で僕の名前を呼ぶ。
「あぁ、分かってる…まったく…アレで隠れてるつもりなんだろうか?」
「あ、あの…どうかしたのでしょうか?」
…まぁ、確かに小声とは言え念話じゃないんだから聞こえる可能性があるにはあるが…先程の魔法名を聞いたのもそうだが、アイアンさん…結構、耳が良いんだな。
「アイアンさん、驚かないで下さいね…実は僕達は付けられています。」
「えッ!?そ、それは本当なんですか?」
アイアンさん『えッ!?』の部分はは少し大きな声だったが、流石に不味いと思ったのか、すぐに後は小声で聞いてくる。
幸い、その声は後ろの二人組みには聞こえていない様だ。
「とは言っても、あの方々の強さは、私達の足下にも及びませんしアイアンさんには指一本触れさせませんから何も問題はありませんけどね」
「えぇ…プリンの言う通り、正直、全く脅威ではありませんのでご心配なく…ただ、余計な事をしなければ良いな…とは思いますけどね。」
と、僕はアイアンさんに伝える…そう、何となくだが嫌な予感がするのだ。
そして、この手の嫌な予感と言うのは、基本的に外れる事はなく…残念な事に的中する事になったのだった…。
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