257ページ目…スライム調査【6】
「ヒット!あなた、やはり『例のスライム』の存在を確認しました!
直線距離にして約100メートル、場所は…あちらです!」
そう叫んだプリンが指さした方へ、瞬間的に反応して僕は走り出す。
もちろん、プリンも同時に走り出すのだが、クズハに関してはまだお茶の後片付けがあるので、そのままその場に残る事になる。
もっとも、クズハには僕のダンジョンからダンジョンマスター特典で入手した
流石に、森の中だけあって100メートルの距離であったが1分位は掛かったと思う。
だが、それでも『例のスライム』を
そう…僕の特殊スキルである〖
そして、その結果…予想通り『マッドスライム』である事が判明したのだった…。
「やはり、コイツだったかッ!!」
〖神眼〗で見た結果に、僕は思わず大きな声で叫んでしまう。
そして、当然ながら、その声はマッドスライムにも届いてしまう訳で…マッドスライムの意識が僕に向く。
「あなた、気を付けて下さい!スライムとは言え異常種です。
予想外の攻撃をしてくるかも知れません!」
マッドスライムが僕をターゲットに決めた事により、プリンが僕に注意を促してくる。
そう、通常であれば雑魚扱いのスライムでも、相手は『異常種』ともなれば話は別で、油断なんて出来るはずもない。
また、プリンと〖融合〗した事のある僕には、例え『通常種』のスライムだったとしてもて油断すると言う選択肢は存在しない。
それほどまでにスライムと言う種族は、油断が出来ない存在なのだ。
それだけ警戒していても、僕の予想を超えてくる可能性は十分あると警戒する。
何より、いくら相手がスライムであろうと、これは生きるか死ぬかの戦いである…ならば、油断すれば幾らでも死ぬ可能性はある。
とは言え、慎重過ぎて動けないのでは意味がない訳で…。
「とりあえず、まずはお手並み拝見…『魔神剣、紅蓮斬』!」
僕は〖
僕が魔神化した影響で、同じ魔神剣でも魔法を核にして剣を生成する魔神剣と、剣に魔法を上乗せする魔神剣とを自分の意志で作り出す事が出来る様になっている。
そのお陰で、無理な力の制御をする必要が無くなっている。
だが、そんな一撃をマッドスライムはいとも簡単にヒョイッと躱すと、何故かプリン目掛けて攻撃を仕掛けた。
「プリン、危ないッ!」
思わず叫んでしまう僕…だけど、プリンは何故か避けようともせず、そのままマッドスライムに体当たりをされ…何事もなかった様に、パンパンと服の埃を払ったのだった…。
「え…っと、プリン、マッドスライムは?」
そう、確かにマッドスライムはプリンにぶつかった。
にもかかわらず、プリンは何事もなかった様にしている。
そして、マッドスライムの姿は何処にも見当たらない。
故に、僕はプリンに尋ねたのだが…。
「えっと…何となく生意気だったので、食べちゃいました、テヘッ♪」
そう言って、僕の方へ笑顔を見せてくる…って、喰っただとッ!?
「ちょッ、それって大丈夫なのか!?」
「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ、あなた♪
それに、先程までの消耗したプチスラ達分を回復しないと、です。」
僕は慌ててプリンに尋ねた…のだが、再びプリンは笑顔で答えてくれる。
いや、まぁ…確かに、そうなんだろうけどさ。
それでも、一瞬で、マッドスライムを捕食したと言うのは何と言っていいのやら…。
「ま、まぁ、これで一件落着…かな?」
「そうですね、後は、ギルドでラオンさんに報告…そう、報告しなきゃダメなんですよね…。
あなた、私がマッドスライム食べちゃったから、倒した証なくなっちゃいましたけど、どうしましょう?」
プリンに言われて、唖然とする…そう、帰らずの森のスライムが原因と言うのまでは分かった…。
だが、ラオンさんに報告するなら、討伐したのであればその証を提出する必要がある。
それなのに、プリンはそのマッドスライムを一瞬で跡形もなく全部で食べてしまった。
そうなると、当然ながら討伐部位なんて物は存在しない。
つまり、ラオンさんに討伐しました~と報告しても、信じて貰えないかもしれない訳で…。
「えっと…ここはダメ元で報告するしかないんじゃないかな?」
と、僕はプリンに溜息まじりでそう答えるのだった…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます