232ページ目…魔神覚醒…?
「僕は【我は】…この世界を【認めない】ッ!!」
今の僕にはプリンを助ける為の手段がない…だけど、こんな世界は間違っている…と、僕は力の限り、この世界を拒絶した。
その瞬間、僕の中で誰かが微笑んだ様な気がした。
『カチリッ!』
何の音だろう?気の所為だったのか?そう思う間もなく、俺の中からあり得ないほどの力が湧きだしてくる。
それも、プリンと同化するよりも…まるで神にでもなったのでは?と誤解しそうな程に…。
もっとも、その考えは誤解ではない事を俺は知っている。
そう…既に何度か異様な力を振り絞る感覚に似ている力なのだが、『カチリッ!』と音がした時には自ずと、その意味を理解したのだ。
【称号:〖魔王〗が〖魔神〗に進化しました。】
そう…つまりは、そう言う事だ。
俺の中には、じぃちゃん…勇者セイギが、ばぁちゃん…当時のお姫様の中に魔王の魂を半分封じ込めた。
まぁ、当時の事は分からないが、じぃちゃんは倒しきれずに封じ込めたのかも知れないが、受肉する事により魔王となった神の魂が、半分だけとは言え封印されていた。
それが、母さんに引き継がれ…そして、俺が生まれた事により俺へと引き継がれていたらしい。
そして、それは単純に復活するのとは違い俺に全てを託す形で、俺の魂が魔王の魂と一つになった様だ。
そう言えば、昔読んだ本に、人間の魂は、不完全で欠けているのだが完全になると神になるとか何とか…。
男と女が愛し合い一緒になるのは、その欠けている魂を補う為とか言う、誰が言い出したんだ…と思っていたのだが、あながち間違いではなかった様だ。
もっとも、俺は神は神でも、この世界の
その証拠に、〖魔王〗の称号が〖魔神〗になったが、俺的には何の不思議もなかった。
そして…改めて、プリンを見る…もう、殆ど
俺は何の
たったそれだけの事で、俺はプリンを救う事が出来ると確信していた。
「来いッ!」
たった一言、その一言を待っていたと言わんばかりに、消滅する寸前のプリンの中から光の玉が飛んで来て俺の胸に飛び込んでくる。
俺は、その光の玉を、二度と離すものか…と、愛おしそうに抱き締めると自分の体の中に取り込んだ。
魂が震える…その表現が最も適しているのだろうか?
失うはずだった魂…そして、取り戻せた魂…。
例え、この世界全ての者が滅ぼす事になったとしても守ると誓った愛しき人…俺の、そして【我の】命より大事な人を取り戻した喜びに…魂が歓喜を覚えた。
「我が魔王・
そう言って、俺の前に膝を折り、頭を垂れる魔族…。
お前の所為で大事な人を再び失うハメになったと言うのに祝福の言葉を掛けてくるだと?
何とも言えない怒りが心の奥底から込み上げてくる。
だが、今はプリンを取り戻せた事に喜んでいるので、一瞬で消滅させるのではなく話だけは聞いてやろうと思う。
「お前は?」
そう…ラドルと違い、俺は、初めて会う、こいつの名前を知らないのだ。
「これは失礼しました。
私の名はオメガ…主様の忠実な
「主とは誰の事だ?」
「もちろん、貴方様の事です…魔王・零様ッ!」
なるほど…つまり、俺を魔王・零と勘違いしていると言う事か。
まぁ、あながち間違いではないのだが、生憎と
正直な話、俺の魂と零の魂が一つになる時、魔王・零が勝つと思ったのに、どう言う訳か、俺が勝つ事になった。
まぁ、俺が助けたかったプリンと零が取り戻したかった***の魂も、どうやら一つになった上にプリンがベースとなってる様で、零が俺に譲ってくれたのかも知れない…。
え?俺のプリンを想う思いが強すぎて負けた?
いやいや、元・神に勝てる訳無いでしょ?
まぁ、何はともあれ、そんな訳で俺がメインの人格だったりする…。
で、そんな俺に、このラドルはプリンを殺そうとした事を誇らしげに話している訳で…。
当然ながら、俺も零も許す事なんて出来る訳がない…。
特に零にとっては、どれだけの月日が流れたのか知らないが、やっと再会する事が出来た相手を再び失う所だったのだ。
許すと言う選択肢があろうはずがない。
「そうか、ならば…死ね。」
俺は、冷たくそう言い放つと、〖闘気剣〗…改め〖魔王剣〗を発動させるとオメガに斬り付ける。
あまりに躊躇いもなく、また、ゴミを片付けるが如く動いた行動には、殺気すらもない動きだった為、いともあっさり斬り裂かれ、断末魔すらあげることなく霧散するオメガに、あの名台詞を言ってみたくなってしまった。
「また、つまらない物を斬ってしまった…。」
それでも怒りは収まらないのだが少し離れている所に、恐怖なのか何とも言えない顔をしているクズハを見付けた…そして、急速に冷める心と頭…。
あ~、確か、初めてプリンと同化した姿を見せた時も、こんな風に変な感じになっていたな~と、苦笑する。
そして、自分の行動に呆れた訳ではないが、俺は大きな声で声を掛ける。
「クズハ、もう大丈夫…プリンは助けたッ!」
と、それを聞いたクズハは、目から大粒の涙を流し『うわ~ん!』と、泣きながら、俺の胸に飛び込んでくるのだった…。
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