187ページ目…偵察【2】
この世界では見掛けなかったマヨネーズと言う調味料の存在に、もしかしたら僕と同じ様な存在が居るのでは?と、警戒心を強めた僕達は急いで食事を終わらせると、早々に店を出る事にした。
とは言っても…店内に放ったプチスライム達は、この店の監視を目的としている為、そのまま店内に待機させている。
と言うよりも、完全に周囲に溶け込んでいる為、肉眼では確認出来ない上に気配探知でもその存在が分からないほどの隠密性なのだから、これほど監視に向いている存在はいないのではないか?と思う。
「しっかし、まさかマヨネーズが出てくるとは思わなかったな…。」
「そうですね…ご主人様の記憶から私も作ったりはしていますが、私の作る物よりも美味しい気がします。」
とは、プリンの台詞だ。
もちろん、僕の記憶から読み取っている為に味やらは認識しているのだが、実際に作って食べるのとでは認識の違いが出てくるのだ。
これは、人の好み…とも言えるべき状態ではあるが、人の感じる味覚に差がある為だ。
故に、僕が食べたのとプリンが食べた物の…同じ物を食べても違った風に感じる訳だ。
その為、初めて他の人の作ったマヨネーズを食べたプリンには、そこそこ驚きのある味だった…と言う訳だ。
「わ、私もビックリしました…ご主人様が驚いていたので興味を持ちましたが…あんなに美味しい物だったとは思いもしませんでした。」
「そう?だったら、新鮮な卵が手に入るならマヨネーズは作る事は出来るけど?」
まぁ、作るのは僕じゃないと思うが…。
「流石に、こっちの世界では、長持ちさせるのは大変だから大量には作れないと思うけどね?」
そう…こちらの世界では基本的に食料品と言うのは長持ちしない。
そもそも、冷蔵庫が無いのだから仕方がないのかもしれない。
ただ、氷の魔法を使い、冷蔵庫みたいな使い方をする方法で食品を長持ちさせる方法もあるにはあるのだが…その効果には、かなりのロスが出るみたいで、上手く調整が出来ていない様だった。
ちなみに…もし、僕が簡易で作るのであれば、冷蔵庫の内部を直接冷やすのではなく、でっかい氷を作り、その氷から出る冷気を使い食品を冷やす方法を使うんじゃないだろうか?
もっとも…僕が本気で作るのであれば、そんな古い冷蔵庫みたいなの物を作らなくても、魔石を使い直接魔力を冷気に変換する物を作り上げて、元の世界の冷蔵庫に引けを取らない様な冷蔵庫を完成させる事だろう。
ただし、魔道具を作り出す知識はないのだが…。
と、話が逸れているので話を戻す事にしよう。
「それで、プチスラ達の様子はどうだ?」
「概ね、順調だと言っても良いと思います。
ですが…やはり、隠密性重視の性能の為、基本的には敵の気配探知に気配に引っ掛からない様に行動するので、移動速度は物凄く遅いので厨房に辿り着くには、かなりの時を要するかと存じます。」
と、プリンは言って謝罪をしてくる。
「あぁ、その辺は気にしなくて大丈夫だから、プリンが謝る必要なんて無いからね?
それよりも、問題は聖騎士団と料理屋がどう繋がるのか…が、問題だよな…。」
何やら、どうにも嫌な予感がするのだが原因すら判らないのだから、お手上げだ。
「あ、あの…ご主人様、プリン様の包囲網が時間が掛かるのでしたら、例の男が立ち寄りそうな場所を私達が直接行ってみるのはどうでしょう?」
うん…クズハの言う通り、僕もその通りだと思う。
ただ、僕とクズハの考え方には若干のズレがある。
クズハの言う『立ち寄る場所への移動』と言うのは、今から何処に行く事を決めるから始まる。
だけど、僕の言う『立ち寄る場所』と言うのは、すでに立ち寄っていた料理店の数々なのだ。
「クズハさん、ご主人様が無駄に料理屋に行ったのだと、本当にお思いですか?
ご主人様は、今まで行った料理店の店主達が馬鹿な事をしでかさない為に監視する為にプチスラ達を置いてきました。
ですが、その中でも怪しいお店には、プチドラゴンスライムを配置しました。
つまり、先程、クズハさんが言った行動は既にしていると言う事です。」
「そ、そうだったんですね…余計な事を言って申し訳ありませんでした。」
そう言って頭を下げるクズハ…それを見て、僕はクズハの頭を優しく撫でてから、頭を上げる様に言う。
すると、目に涙を浮かべてはいる物の、クズハは笑顔を見せてくれた。
次の瞬間、プリンに反応があった。
「あッ!ご主人様、プチドラのルシちゃんが聖騎士を名乗る怪しい者を発見いたしました。
現在、〖スキル:
突如、放っていた7体のプチドラシリーズの1体からプリンに連絡が入る。
余程の事がない限りは、プチスライムの上位互換でもあるプチドラが監視対象に見付かる可能性は限りなく少ないはずだ。
しかも、何気にそこそこの戦闘力も付与してある。
なので…おそらくは、そのまま、そいつ等のアジトを見付け出してくれる事だろう。
そこに、もし違法な物があれば各ギルドも、それを理由に何かのアクションをする事も可能になる。
そうすれば、再びギルドに恩を売る事が出来るはずだ。
「よし、それなら急いで宿に戻るぞ!」
プリンからの報告を受けて僕達は宿屋に向かう。
何故なら、この宿屋は防音仕様の部屋の為、色々と作戦を立てるのに適しているからだ。
もっとも…それなら、〖
そもそも、この宿屋はギルドの管理する宿屋だったのだから…。
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