162ページ目…目指せ、聖王都【3】
「さて、そんなこんなで家に帰ってきたんだけど…どうするかな…。」
「お帰りなさいませ、御主人様。」
「あぁ、アリスか…ただいま。」
「それで、素材集めの件、何とかなりそうなんですか?」
「う~ん…いまいち微妙な感じだが、何とかなると思いたい…かな?
それで、アリスは僕に何の用かな?」
「いえ、用と言う程の物ではないのですが…ご主人様は、馬の形をしたゴーレムを作り馬車を引かせる…と考えている様なのですが…。」
おや?アリスは何が心配なのかな?
「うん、そうだね…さすがに、車は目立つからね。」
「馬車の馬の方は、素材次第なのは分かりましたが…それで、馬車の荷台部分はどうなされるつもりなのですか?」
アリスに言われて思考が停止する。
「え?」
「え?」
それは、アリスに言われるまで、すっかりと忘れていた事だった。
言われてみれば確かに…だ。
当たり前な事とは言えば当たり前な事なのだが、僕は今まで馬車なんて持っていなかったのだから馬車の荷台なんて持っていない。
その為、馬だけを用意しても、肝心の荷車部分が無ければ荷物を運ぶ事すら出来ない…と言う事をすっかり忘れていたのだ。
「えっと…どうしよう?」
「今からですと…森に行き、木を集めるか、もしくは馬車の荷台部分のみを購入なされるか…ですね。」
「ん?木を集めてどうするんだ?」
「もちろん、木を加工して荷台を作るんです。」
「あぁ…そう言う事か…って、さすがに僕も荷台なんて作った事無いぞ?」
「はい…残念ながら、私もありませんね。
ですが、荷台の作り方くらいなら、大体は予想が付きます。
それに…素材さえあれば最悪、御主人様の〖魔法:
確かに、木材だろうが鉱石だろうが、〖模型創造〗ならば好きな形に変化させる事は可能だと思う。
「まぁ、そうなんだけどね…。」
確かにアリスの言う事は、もっともなのだが…それで良いのか?と思わなくもない。
何でもかんでも魔法に頼るのは違うんじゃないだろうか?
とは言え…逆に、荷台部分を買うとなると、これまた余計な出費が出る…と言うのは、さすがに好ましくない。
多少なりとも懐具合が良いからと言って、それに胡座を掻き、油断して散財するのは愚の骨頂とも言える。
それに、アリスの言う様に〖
形状を変化させる…ただ、それだけと思われがちな魔法ではあるが、2つの木を1本の木として作り替える事も出来るし、継ぎ目すら無く形を変化させる分、強度の方は信用出来る。
「まぁ、いっか…とりあえず、森から馬車用の木を集めてくるか…。」
「でしたら…申し訳ありませんが、家の修理用の木や薪も、ついでにお願いします。」
申し訳ありませんが…と、アリスは言うが、おそらく、こちらがメインで言いたかったのでないではなかろうか…。
「はいはい…こっちの方がアリスには重要だもんね。」
「バレちゃいました?テヘッ♪」
「ははは…そりゃ、アリスのお陰で家が綺麗でいられるからね。」
先日のレベル上げのお陰で、少女の姿から中学生くらいまで姿が成長しているので、子供っぽさは抜けていないが、その代わり、若干だが色っぽさが混じり始めたその笑顔に、苦笑しつつ僕も笑顔で答える。
「そうと決まれば…他のヤツにも声を掛けて一仕事しますかね。」
「はい、頑張ってください♪」
アリスの笑顔に励まされ、僕は屋敷の中にいるメンバーの元へと向かったのだった。
◆◇◆◇◆◇◆
「あれ?誰もいない…。」
って事で、気合いを入れて家の中に入ったのだが…残念ながらリビングには誰もいなかった。
「もしかして、みんな出掛けたのかな?」
誰もいない事に、少なからずショックを受けた僕…しかし、考えてみたら普段から誰かと行動している為、一人で居ると言う事に若干、寂しさを覚えた。
それを考えると、昔はプリンと魔王化した後、解除したら喪失感が半端無かったのに今では平気になっている。
それを考えたら、この位の寂しさなんて何でもないのに、何でこんなに寂しんだろうな…と思って、笑ってしまう。
『パンッ!』
僕は気合いを入れる為に、自分の頬を勢いよく叩く。
若干、力を入れすぎた為、頬が痛くなってしまったが、それはご愛敬。
たまには、一人で行動するのも良いだろうと思い、〖魔法:
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます