146ページ目…レベリング【5】
しばらく、ダンジョンの第3階層へと入り込んだ冒険者へ注意を促した後、僕は、休憩している仲間の所に戻ってきた。
少し時間が掛かってしまった為、メンバーが少し不機嫌になっていたが、概ね問題はない様だ。
「旦那様、遅かったですね…何していたんですか?」
プリンが少しほっぺたを膨らませて僕に聞いてくる。
「あぁ、ちょっとダンジョンマスターとしてのお仕事だよ。
もっとも…ギルドのお仕事と言った方が正解だけどね。」
まぁ、旦那様と言われたのは無視しておこう。
「主 わりやすく」
珍しく興味を持ったのかローラが聞いてくる。
まだ片言の話し方だが、だいぶ話すのに慣れてきたみたいだな。
「えっと…冒険者達は今日、本当なら、この階層まで入ってはいけないから注意してきたんだよ。」
「分かった」
こんなアバウトな説明で本当に良いのか?と疑問ではあったが、ローラがそれ以上何も言わないので良しとする。
って言うか、あれで詳しいのpか?と
「そ、そう言えば…ご主人様、私達は何階層まで入れるんですか?」
と、クズハが自分の免許を見ながら僕に聞いてくる。
確かに僕達の免許には上級者用と書いてあるが何階層までとは書いていない…。
それを考えると…一応、第3階層に降りる階段には、この先中級者用と書いてはあるが誤って、この階層まで入ってきたのは、ある意味、仕方がない事だったかもしれない。
次からは、ラオンさんに免許を交付する際に2階層ずつランクが高くなるのを免許にも記入して貰い、冒険者の人達にも分かりやすくして貰った方が良いだろう。
「僕達は上級者用の免許だから、第7階層までなら潜る事が出来るよ。
それから…今日は、他の冒険者達は初級クラス…つまり、第2階層までしか入れない事になっている。」
「な、なるほど…それで御主人様が注意してきたんですね。」
「そう言う事…まぁ、注意しても聞かないヤツらにはお仕置きしたけどね。」
「あら、残念…私が側にいたら、ご主人様に逆らうヤツらを退治したのに…。」
うん…だからこそ、プリンを連れて行かなかったんだよ…と心の中で呟いておく。
「まぁ、お仕置きに関してはスライム君に任せたが…やけに能力が高い気がするんだが…本当に端末仕様なのか?」
僕は先ほど感じた疑問を素直にプリンにぶつけてみる。
「えぇ…端末仕様ですよ?」
そう言って、目を逸らすプリン…。
何て事はない…やはり犯人はプリンで特別仕様だったみたいだ。
とは言え、お陰でいちいちダンジョンマスターの部屋まで戻る必要がないのだから、ありがたい話である。
「まぁ、そう言う事にしておくか…んじゃ、そろそろ休憩を終わりにして、またレベル上げだな。」
僕はそう言うと、みんなを連れ狩りと言う名の暴力を振るっていく。
その甲斐あって、少しずつではあるが、みんなのレベルが上がっていく。
この調子ならば上手くいけば、かなりのレベルアップも期待出来るのではないだろうか?
◆◇◆◇◆◇◆
「お疲れ様~!」
僕は初級の回復薬を扱っている店員に声を掛ける。
とは言っても、人ではなく魔物…詳しく言うならリッチと呼ばれるアンデッドだ。
「あ…店長、お疲れ様です。」
「「「店長?」」」
リッチが店長と呼んだ事により、みんなの疑問が膨らむ。
「あぁ、ダンジョンマスターの権限でリッチに販売店で働いて貰ってるんだけど…ダンジョンマスターなんて呼ばれたら不味いじゃん?
だから、別の呼び方で…と、考えたんだけど良いのが思い付かなくてさ…。」
「あ~、それで店長なんですね。」
流石に僕と同じ記憶を持っているプリンは、すぐに理由を思い付いた様だ。
「そう言う事…リッチを店員として雇っていると言うのなら、オーナーか店長と言う事になる。
まぁ、オーナーでも良かったんだけど、個人的に店長の方がしっくり来るかなと…ね。」
僕がみんなに説明をする…すると、リッチが声を掛けてきた。
「それで店長、オープンしましたが調子はどうですか?
何人かは、ここまで来そうですかね?」
まぁ、ここで待機して貰っているのだから気になるのは仕方がない事なので、特に何も言う気はないが…。
「どうだろう?一応、今日は初級まで…つまり第2階層までと決めてはいたんだが…第3階層まで入ってきていたヤツらもいたしな…。
一応、そいつ等には声を掛けて戻って貰う様にしたが…その後からの第3階層に入ってきたヤツらは調子に乗って、ここまで来るかもしれない…そうなったら打ち合わせ通り頼むね。」
僕はそう言うと守護者の居る第5階層へと階段を下りていく。
その為、他のメンバーも後に続いて階段を下りる事になる。
その際、リッチがメンバーに注意を促す事はしなかった。
う~ん…気を利かせてくれたんだろうけど、ここは一度、危ないからと注意をして欲しかった所だが、僕が居たのだから仕方がないか…他の冒険者が居る時は、一緒に降りない様に注意しないとダメだな。
僕はメモ帳に注意する事として書き込んでいく。
気を付けないと、他の冒険者と潜った時に、ダンジョンマスターとバレてしまうからね。
そして…ちょっと派手目の扉の前に、僕達は立っている訳だが…。
この、ちょっと派手目の扉こそが、この第5階層…守護者が守る部屋の証だ。
僕は全員の顔を見渡し開ける意志を伝える。
みんなが肯くのを待ってから、ゆっくりと扉を開けていくのだった…。
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