135ページ目…交渉【2】
僕は、ダンジョンポイントで作り出した回復薬ポーションを、ラオンさんにプレゼントして、すぐに飲む事を勧めた。
「そ、そうか…折角だから頂くとするか…。」
そう言うとラオンさんがポーションの瓶の蓋を開けて、一気に飲み干す…。
正直な話、中身を確かめもせずに飲む辺り、流石はギルドマスターと褒めてやりたいが…だが、ぶっちゃけ…毒だったらどうするつもりなんだろう…。
「ぬぉぉぉぉぉ!これは、ただのポーションじゃなく、魔法薬じゃないか?!」
「はい?魔法薬?普通の
「あぁ…
しかも、初級の魔法薬でも、気軽に使用出来る金額じゃない…俺だって、魔法薬なんて久しぶりに使ったぞ…だが、この魔法薬…高かったんじゃないのか?
初級の魔法薬みたいだが…この効果だと銀貨数十枚は必要だろ?」
それほど高価な物だったのか…と言うのは初めて知ったのだが…ラオンさんがポーションの金額を聞いてきたので、素直に答える事にする。
「実は、そのポーションは、先程も言いましたが、僕が作り直したダンジョンのドロップ品だったりする予定の物でして…。
だから、ぶっちゃけますと
そこで相談したいのですが…僕は、ダンジョンを初心者、中級者、上級者、最上級者用に作り替えている途中なんだけど…それは、初級でドロップするポーションだったりするんですが…。」
「なるほど…だが、その話を聞く限り…ドロップは、これ以外にもあると言う事だよな?」
「流石、ラオンさん…話が早い!
実は…ご想像通り、HP回復用のポーション以外にも、MP用、SP用なんかもあるし…初級ポーション、中級ポーション、上級ポーションなんてのも用意してあるんですよ。」
まぁ、上級ポーションに関しては、ダンジョンポイントが足りなくて作ってないのだが…それは秘密で良いだろう…。
とは言え…ドロップする物は、それだけでは無いのだから、ちゃんと報告しておいた方が良いだろう。
「あと…それ以外にも武器や防具、お金…それから魔法道具なんかもドロップする予定だり…。」
「ちょっと待て!だが、それだと実力がない者が挑んで死傷者が出るんじゃないか?」
「そう…僕が心配してるのは、まさにそこなんですよ…だから、ギルドマスターであるラオンさんに相談に来たんです!
あのダンジョンをラオンさんの管理下に置いて、ダンジョンに入る為の免許…実力に応じた許可証を発行して欲しいのです。
当然、入り口には門を作り、そこで免許を掲示しなければダンジョンに入る事は出来ない…とか、そこら辺を、適当にお願い出来ないでしょうか?」
ここで言う適当、悪い意味で使う『ちゃらんぽらん』の意味ではなく。
ちゃんと適した様に…である。
「なるほど…そう言う事なら、元々、うちの管理するダンジョンだ…実力のある者にのみ許可を与えれば問題ないと思うが…。」
「あ…そうそう、初心者用はダンジョンとして使うのであれば、第1階層ならソロで、第2階層までならパーティーを組めば初心者でも攻略出来る様にはしてますので、そこの階層までなら十分、初心者用として解放しても良いかと思います…。
ただし、第3階層からは中級者用としていますので、ギルドが認めないと入れない様にしてください。
一応、第5階層には守護者居ますし…念の為に、第4階層の終わりには、リッチがいて命の危険があると警告する様にはしていますが…。」
「はぁ~ッ!?リッチって…あのリッチなのかッ!?」
「えっと…ラオンさんの言う『あのリッチ』が、どのリッチか僕には分かりませんが…僕の言ってるのは、アンデッドのリッチです。」
その言葉に、ラオンさんが数瞬動きを止める。
「はぁ…お前、どんだけ無茶してんだよ…。」
ラオンさんが、頭を抱えて考え込む…まぁ、普通はそうなる…よな?
確かに…今回はテンションが上がりすぎて調子に乗りすぎたと思う…。
「いや~…あれこれしてたら、そんな事に…でも、まだ第8、第9、第10階層は手付かずですし…。
それと、もう一つ…。」
「ま、まだ、何かあるのかッ!?」
僕の言葉に反応して、ラオンさんが警戒する。
「い、いえ…僕がダンジョンマスターって言うのは秘密にして欲しいな…と。
流石に、まだまだ美味しい物とか食べたいですし、正体がバレて、一生、ダンジョンの中で生活したくないですから…。」
いくらダンジョンを自由に改造出来るとは言え、流石に引き籠もりは勘弁したい。
それに、新しい物を見ないと、マンネリ化してしまうと思われるからね。
「あ…あぁ…その事については、逆にこっちからお願いする…。
混乱を避ける為、君がダンジョンマスターである事は秘密にしてくれ…。」
「了解です…まぁ、今度ダンジョンポイントが貯まったら、また何かと交換して持ってきますので…。
とりあえず、くれぐれも実力不足が深く潜らない様にお願いします。
忠告聞かずに死ぬのは自業自得ですが、僕としては殺したい訳ではありませんので…。」
「そりゃそうだろ…ただ、今回の件は、うちのギルドだけでは対処出来ない。
上に報告をして、対処させて貰う…もちろん、君の事は喋らないと約束しよう。
まぁ、何にせよ…ダンジョンが新しくなると言うのであれば、他の所からも冒険者が集まる事になると思うが、そちらに関しても善処しよう…。」
「ご迷惑お掛けしますが…よろしくお願いします。」
「あぁ…クソ、また胃が凄く痛くなってきた…個人的には、絶対に引き受けたくないのだが、仕方がない…引き受けた…。」
「あ!言い忘れましたが…第8階層にはオリハルコンで作った強力な魔物が守ってますので…調査するのなら第7階層まででお願いします。
じゃないと、全滅する恐れがありますので…。」
「お、お前と言うヤツは~~~~~ッ!!」
ラオンさんの防音魔法のお陰で部屋の外には漏れないが、ラオンさん絶叫が響くのであった…。
☆★☆★☆
後日、調査団がダンジョンを調査した結果…第4階層の降りる階段手前…販売店にいたリッチに忠告されて、引き返してきたとの情報が流れ、各地から冒険者が集い、ギルドの収入が増えたと言うのは、また別の話である。
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