116ページ目…ゴーレム戦【2】

「カンカンカン、カンカンカン…。」


 ゴーレムから聞こえてくる金属音…その音に違和感を覚え、俺は再度その音に耳を傾ける。

 そして、その違和感を確かめるべく、身長に音を聞く事にする。


「カンカンカン、カーンカーンカーン、カンカンカン…。」


 あれ?コレって、もしかして…は、この音に一つだけ心当たりがあった。

 それは、モールス信号である。

 しかも、この短い音3つ、長い音3つ…そして、最後に短い音を3つ…つまり『SOS』救難信号だ。


 それが、ゴーレムの中から聞こえてくる。

 と言う事は、ゴーレムの中に人がいると言う事か?まぁ、人とは限らないのだが…。


 そんな訳で、ゴーレム退治を一時的にとは言え中止する事となる。


 何故なら、〖魂強奪ソウル・ドレイン〗で、ゴーレムに付与されてる魂だけを奪えるなら問題ないが、中にいるであろう人…と言うか、生物であろう者の魂まで奪ってしまった場合、このゴーレムが作られた目的が分からなくなるのである…。


 もっとも、自然にゴーレムが出来る事はあるらしいのが…。

 まぁ、そう言う事があっても、この異世界ならば、そんな事もあるんだろう…と考える事は出来ない事も無い…。

だが、今回に限っては自然に出来たゴーレムじゃないのだけは確かである…オリハルコンを使用し、尚且つ…湖の中にいて何かを守っている様なゴーレムならば、必ず理由が存在するはずだ。


 とは言え、流石に、オリハルコンが相手じゃ攻撃が通りにくい…どうしよう…。


〔あの…ご主人様、つかぬ事をお伺いしますが…〖魔法:模型創造モデリング〗で変形させてしまえば良いのでは?〕


「あ…。」


 プリンに言われてみれば、確かにその通りである。

 流石に生き物に対しては使えない魔法ではあるが、魔法生物であるゴーレムになら使用可能である。

 そもそも、僕はゴーレムの魂を全部回収したら、素材となったオリハルコンを〖模型創造モデリング〗にて変化させて使おうとしていた。

 だったら、何も金属の塊に戻しきらなくても、今使っても良いはずだ…。


「我が意のままに、その姿を変えよ…〖魔法:模型創造モデリング〗!」


 ゴーレムの背中に大きめの穴が空く…そして中から出てきたのは…骸骨ッ!?

 あ~…アレか、出入り口が無くて中で死んで…そして、骸骨…スケルトンになった…と言う事か。


 って…自分でゴーレムの中に入ってスケルトンになったとしたら、物凄くマヌケだよな…。

 そう思いつつ、ゴーレムの中を覗いてみる。

 別に操縦する為の物はなく、ただの空間があるだけ…椅子すらない。

 SOSの信号を出していたのだから、話は出来る相手だとは思うのだが…。


 問題は…僕の知ってるモールス信号はSOSだけなのだ…さて、どうしよう…。


 とりあえず、アレだ…ゴーレムの魂を全部吸ってしまおう。


 僕は再び〖スキル:魂強奪ソウル・ドレイン〗を発動して残りの魂を吸い取り、大量のオリハルコンの塊を手に入れたのだった…。

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