39ページ目…魔王覚醒?

 暖かい…そして、生まれ変わったのではないかと錯覚してしまうほど、体の底から力が湧き上がってくる。


 この力さえあれば、どんな事も出来そうな気がしてくる。


〔…人様…、ご…人…、ご主…様、ご主人様!〕


 誰かが呼んでいる…誰だ?

 否、『我』はこの声を知っている…そうだ…この声は…。


 僕は…ゆっくりと目を開いた。


〔ご主人様!ご主人様ってばッ!!〕


「やぁ、おはよう。」


 いや、寝てた訳じゃないはずだから、おはようでは無いはずだ。

 とは言え、今の僕は凄く機嫌が良い。


〔よかった…気が付いたんですね!〕


「えっと…気が付く?何の事?

 ってか、プリン…どこに居るんだ?」


 そう…声はすれども姿は見えず…だ。


 周囲を『感知』しても、どこにもプリンの姿が見えない。

 スライムの姿をしている訳でもないし、人化している訳でもない…存在自体は、すぐ近くに感じる物の、姿を感知出来ないのだ。


〔何言ってるんですか、ご主人様…今、私達は〖融合〗により、同化してるんですよ。〕


「………。」


〔あ、あの…本当に大丈夫ですか?〕


「あ、あぁ…大丈夫…うん…思い出した。」


 そうだった…確か、彼女が僕の右腕を治す為に、〖融合〗を使い『我』と同化したのだったな。

 うん、我は思い出したぞ。


〔すまんすまん…どうやら融合の影響か、まだ頭が少しぼーっとするのだ、許せ。〕

〔妾は気にしてはおらぬ。

 それより、本当に大丈夫かえ?〕


 我はで頭をポリポリとかいた…。

 アレ?…今、僕は何て言った?…我ッ!?


 僕はまだ寝惚けいるのだろか?

 ココはいっちょ派手に眠気を覚ますとするか…。


 僕は近くの木に照準を合わせ、思いっ切り頭突きを喰らわせる。


『ドガッッッ!!…バキバキバキッ!!!』


 頭突きの反動で軽いクレーターが出来た。

 しかも、それに巻き込まれた木々が数本吹き飛んだ。


〔だ、旦那さまッ!?〕


 僕の行動にプリンが慌てて声を掛けてきた。


「あ~…ごめん、ちょっと寝ぼけてたみたい…もう大丈夫だよ。

 って、それより…なんか凄い事になってるね…。」


 僕は、周囲を見渡し、自分が引き起こした惨劇を、改めて見た…。

 どう見ても、自然破壊だ…ごめんなさい。


〔さすが妾の旦那様じゃ…凄い力よの~♪〕


「はは、ははは…って、プリン…また口調が…って、何度も言うけど、旦那様じゃないって言ってるでしょ!」


 色々と異常事態が発生している気がする。

 僕は改めて自分の事を集中して事にした。


 1.僕の体から、黒い霧みたいな物が発生している。


 うん、力が湧き出ていたと感じたのは、これの所為かもしれないね。


 2.頭突きをした時に感じたのだが、僕の額の真ん中に、黒い結晶の様な角が一本生えているのが分かる。


 えっと…何をどう突っ込んで良いのか分からない。


 3.僕の右腕が生えている…と言うより、黒い塊がある。


 不思議な事に、自分の手の様にちゃんと物を掴んだり出来る…さらに伸縮も出来る。

 否、伸縮だけじゃなく、腕の形や剣の形にするなど、様々な形にも変化させる事が可能な様だ。

 ただし…どう見ても生き物の手ではない…と、確信がある。


 4.僕は漆黒の鎧を着ている…だけど重さは一切感じ無いどころか、体が物凄く軽い。


 コレ…全力で走ったら、時速100キロとか出るんじゃないか?

 まぁ、こっちの世界に速度計る機械なんて無いだろうけど…ね。


 うん…結局、分かった事と言えば、何も分からないと言う事が分かった。。


 さて…どうしよう…と、考えてたら、プリンから貴重なアドバイスを貰えた。


〔ご主人様、ご自分のステータス確認されてみては?〕


 あ、そう言われてみれば、まだ確認してなかった…。

 僕は慌ててステータスを確認する。


◆◇◆◇◆◇◆


名前:語部カタリベ 夢幻ムゲン

種族:デビル・スライム(融合体)

Lv:5

HP:540/540 MP:510/510 SP:424/424

攻撃:350 防御:310 魔法力:420 素早さ:189


特殊技能とくしゅスキル:〖ステータス表示〗〖自己治癒〗〖HP/MP/SP高速回復〗〖全属性持ち〗〖限界突破オーバーフロー〗〖不滅〗〖神眼しんがん〗〖魅了の瞳チャームアイ〗〖無限庫インベントリ〗〖完全模倣パーフェクトコピー〗〖魂喰いソウルイーター〗〖瘴気〗


技能スキル:〖魔王剣〗〖全魔法オールマジック:LvMax〗〖特殊詠唱:LvMax〗〖投擲:LvMax〗〖魔法:灯火〗〖スキル:融合〗〖スキル:魂強奪ソウル・ドレイン〗〖魔法:魔力譲渡トランスファー〗〖スキル:麻痺付与パラライズ〗〖スキル:毒付与ポイズン〗〖スキル:念話〗〖魔法:身体強化ブースト〗〖魔法:魅了チャーム〗〖魔法:加速アクセル〗〖魔法:初級治療魔法ヒール〗〖魔法:応急処置ファーストエイド〗〖魔法:氷の矢フリーズアロー〗〖魔法:石の刃ストーンエッジ〗〖スキル:光学迷彩ステルス〗〖スキル:硬化〗〖スキル:人化〗〖スキル:擬態〗〖スキル:強酸性弾アシッドブレッド〗〖スキル:触手〗〖スキル:自己再生〗


耐性:〖全属性耐性:LvMax〗〖毒無効〗〖麻痺無効〗〖幻惑無効〗


称号:〖存在しない者〗〖異世界冒険者〗〖悪夢の虜ゆめのとりこ〗〖プチ魔王〗〖憤怒〗〖暴食〗


◆◇◆◇◆◇◆


 …はい?僕はステータスを見て、色々と間違ってる事に気が付く。

 HPやらの基本スペックの向上と言い、スキル増加とか異常過ぎる。

 そもそも、レベルはそのままで、約10倍強くなるってどうよ?


 ってか、理由が分からないけど〖神の目〗が無くなって〖神眼〗ってのがあるし…。

 って言うか…〖闘気剣〗やら〖闘気弾〗が無くなって…〖魔王剣〗って何ッ!?

 それに、〖魂強奪〗…見るからにヤバそうなヤツじゃん…。

 それ以外にも無茶苦茶になってるし…。


 って、オイッ!?今、気が付いたけど…し、種族が…デビル・スライムッ!?

 悪魔スライム…いや、称号の〖魔王の欠片〗が、〖プチ魔王〗になってるから、この場合、デビルとは魔王と訳すのが正解か?

 もし、デビルが、魔王だとすると…さっきの、自分の事を我なんて呼んでる精神異常は、その影響か?

 そりゃ、これだけ色々可笑しくなってたら、それも不思議じゃないのだろうが…。


 と、とにかく…右腕を治したら、早く融合解除しよう…。

 僕は、右腕の黒い塊を解除し、〖自己再生〗を行う。

 すると、失われていた右腕がニョキニョキと生えてきて、すっかり元通りになった。


 Lv5の僕には、明らかに過剰性能オーバースペックだ。


「プリン、融合を解除してくれ!」


〔は、はいッ!〕


 僕の焦りを彼女も感じているのだろうか…プリンが慌てて融合を解除してくれた。


 次の瞬間、僕は、体から出ていた闇の霧に包まれた。

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