第580話 皇帝の評価


 飛梅チートを使ってやって来たのか……。


悠馬ユーマの宿を見るのが楽しみだったのだよ」


 子供じみた笑顔で高杉は声を弾ませた。

 どんだけ楽しみだったんだこの男は。そして、うちの宿ホテルは高杉の期待に応えられたのだろうか……。泊まってみた感想を訊いてみたい。


「いや、素晴らしいね」


 そんな俺の内心を見透かしたように高杉は言った。


「150年、いや、160年か。僕と君との時間的な隔たりはそんなものだろう。元の世界あちらでの話だよ」


 幕末と令和。それでも200年は離れていない。


「――それだけの時間で生活の有り様が大きく変化したのが分かった。しつらえの完全な様式化にも驚いたけれど、一番は素材だ。木でも鉄でもない。実に興味深い」


 プラ製品のことだろうか。

 汎用化してまだ100年経ってないのだから無理はない、か。


「宿屋としても満足した。寝台ベッドの寝心地も良かったし、朝食も美味かった」


 満足してもらえたなら何よりなのだが、


「悠馬、君の宿はこの異世界せかいにおいて突出しすぎている」

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