第479話 皇帝の未知なる力


は、私たちを目視していました」


 そう語るノヴァの声は硬かった。


「私があの男へ攻撃を加えようとした時、エリザ様は私を制止し反転離脱したのです」

「ほお」


 帝国憎しで凝り固まったエリザヴェートが? 皇帝らしき人物を目の前にして?

 エリザヴェートを見ると、こっちはこっちで複雑な表情をしていた。

 なんだろうか。怒りか。畏れか。自己嫌悪か。


「あの場に留まればノヴァも私も無事ではなかったでしょう」

「……お前ら、空飛んでたんだよな?」

「ええ、その通りです」

「皇帝は空にいたお前らを倒せる、と?」

「手段はわかりませんけれど。あの時感じたのは得体の知れない気配でしたわ」


 皇帝の攻撃手段は全く想像つかないが、エリザヴェートの言葉は無視するわけにもいかない。俺は質問を変えてみた。

 

「皇帝はどんな奴だった? 外見的な特徴を覚えていれば教えてくれ」

「ユーマ様のような――」


 は? 俺?


「――のっぺりとしたお顔立ちの男性でしたわ」


 平らな顔で悪かったな。と、まあ今はそれはどうでもいい。

 日本人? いや、アジア系の転生者か。

 何者だそいつは。

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