第457話 死者の王の盤面整理

「やれやれ。陣地作りの次は敵軍に奇襲か」


 よくよく儂も便利使いされておる。それを許すとは儂も丸くなったものよ。


 敵陣に骸骨兵スケルトンウォリアーを送り込むだけなのじゃから、実の所そう大した労力ではない。

 

 今もこうしてせっせと骸骨兵を作っては順次前線へ向かわせておるわけで、遥か彼方――塹壕線の迂回先にある林の中――で怒号と悲鳴が上がるのが心地よくも面白い。やがて喧噪に銃の発砲音が混ざりはじめる。


「くっくっく」


 骨の兵士に銃撃をしてもなあ?


 バタバタと崩れ落ちる骸骨兵はすぐに立ち上がる。砕けた骨は、近くに転がっている別の骨で代用。不死の軍勢は進軍を止めない。敵を蹂躙するまで決して歩みを止めはしない。


 帝国の迂回部隊を鏖殺おうさつした後、儂の骸骨兵は林の中に身を潜めた。


「ま、これでしばらくの間は迂回しようなどという気分にはなるまいよ」


 これでまた膠着。儂もしばらくの間は出番ないじゃろ。

 ユーマはこの後どうするつもりなのやら。


「お手並み拝見じゃな」

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