第397話 わかってくださいますね、あなたなら
喧噪が、耳朶を打つ。
「――横から割り込んできてんじゃねえぞジジイ!」
「並んだ者順で取引先を決めるような方だと旦那のことを思ってるでしたら、ちょっとばかし経験がたりやせんな。お若いならしょうがないでしょうがね」
「ガキ扱いするな!」
キンキンと甲高い少女の喚き声と、それを飄々と受け流している癖の強い男の声。
「ガキ扱いされると怒るのはガキですよ、お嬢ちゃん」
「ぶっ殺すぞ!」
「躾のなってない仔犬に殺されるほど耄碌してやせん」
クラリッサと、ブルーノか……。
目を醒ました俺は、自分が膝枕をされていることに気付いた。
「おはようございます、ユーマ様」
「アイか。すまん、今起き――」
「クラリッサに打たれた腹部が痛むでしょうからどうぞこのままで」
「ってその腹部を押さえつけられてるんだが?」
「……どうぞこのままで」
膝枕で、しかも押さえつけられて、なんとも締まらない恰好ではあるが、俺はふたりの商人に頼み込んだ。
「お前ら、喧嘩をやめてくれないか」
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