第394話 疲労が癒されるのは誰か
ブルーノには部屋を宛がったし、今日のところはこんなもんだろう。寝るには早いが、俺も休むとしよう。
フロントから事務所へ移動する時に、ナターシャに声をかけておく。
「悪いが、仮眠室で寝る」
「お疲れ様です、ユーマさん」
「ナターシャも
「はい!」
いい返事だな。
「非常時には遠慮なく起こしてくれ」
「承知しました。おやすみなさいませ」
ナターシャの所作に俺は、へえ、と感心した。自ら接客がどうのとか言うだけあって、確かにフロントスタッフとしてサマになっている。誉めたら必要以上に調子に乗るので言わないでおくが。
ともあれフロントを安心して任せられるのは有難い。事務所を素通りして仮眠室へ直行。客室に比べると寝心地はアレだがそれでも
寝よう。考えなければならないことが多すぎるが、
ばたり、とベッドに倒れ込む。
むにゃ、と柔らかい感触。
「……アイ。何やってる」
「温めておきました」
「そりゃどうも」
抵抗するのも面倒くさい。
(言い訳としてはちと弱いのではないか?)
俺の
オマエは黙ってろ。
(おお、怖い恐い)
小柄なアイの広げる腕の中に寝転がった俺になおも「ヤツ」の声が聞こえてくる。
(
……つまりWIN-WINってことだ。
「おやすみなさいませ、ユーマ様」
返事をするより先に、俺の意識は泥濘の底に沈んでいった。
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