第325話 剣の術理、人の心理

 鍛錬を繰り返すうちにえてきたものがありました。


 ノヴァがよく使う半身の構えは、攻撃される面積を狭めるため。

 下段の構えは上段からの攻撃を誘うため。

 すべてが相手の攻めを限定する布石であるということ。


 そして、


 ――ひゅっ!


「反応できていませんよ、エリザヴェート殿下」

「むう」


 剣が動き出してからでは絶対に間に合わないということ。


「でも、わかってきましたわよ」


 負け惜しみのように聞こえたかもしれませんけれど。


「……そうですか」

「もう一本、お願いしますわ」


 互いに構えます。ノヴァは下段、私は正眼に。


 ――わかってきました。


 剣を見て、剣を見ない。

 ノヴァの全体を見る。

 その動き出しを。

 察知する。


「今っ!」

「!?」

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