第270話 商人はある少女が苦手

 ――そんなわけで、アタシとリュカの市場探索は幕を開けた。


 リュカは本人の言葉通り、普段あまり金を使わない生活をしているらしく、露店のつまらないガラクタからちょっと良さげな刀剣の類までなんでも興味深そうに見入っていた。


 ユーマオッサンめ、もうちょいこの子に常識ってやつを教えてやれよ……。


 直接言ってやりたいところだけれど、オッサンは確か王都に行って留守のはずだ。

 となると代理はチビ女アイ


 あいつ苦手なんだよなアタシ。

 アタシより全然チビだし、可愛いツラしてるけど、が違う。

 ベテラン冒険者や海千山千の商人よりもずっと強い圧をしてやがる。

 何をどうしたらうら若い女の子があんな風になるのか見当もつかない。


 ……こう言っちゃなんだけど、



 露店をひやかしながらそんなことを考えている間にも、


「クラリッサ! コレ! ジブン、コレがいいデス!」


 どうやらリュカはを見つけたらしかった。さてさて。

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