第258話 商人の感じる違和感は閉塞感か

 狭い通りに向かい合う家々は石や煉瓦で造られていた。

 ムラノヴォルタで木造の建物ばかり見ているアタシには違和感しかない。


 まあ、あのオッサンの塔の宿アレは例外中の例外なので無視するとして。

 この集落の建築物はなんというか――


「壁みたいデス。なんか息苦しいデス」


 リュカが背の高い建物の隙間から覗く空を見上げて呟いた。

 アタシもそう思う。

 息が詰まる。


 なんだろう。

 堅牢とか強固とかって言葉がしっくりくる。

 ただの集落を形容する言葉じゃない。

 違和感が強まるけど、だからって何かが変わるわけじゃない。

 ただただ、居心地の悪さのようなものが体の中に積もっていく感じ。

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