第245話 分別過ぎれば愚に返る、ということ

 何をかもを護れると思うな、ね。

 別にそこまで自分の力を過信してはないが。

 だが――


(それとな、ユーマよ)


 どこか諭すような口調で、「ヤツ」は言う。


(人の評価というやつはの、自分以外の誰かがするものよ。ユーマを英雄と呼ぶ者がおっても、それはそやつの考えに過ぎん。あまり深く考えずともよい)


「ヤツ」はいつになく饒舌だった。

 俺を慰めてくれているのだろうか。


(うむ。我が娘アイにとっては無二の主。ボロ娘ナターシャ獣人の小娘リュカにとっては、信頼できる雇い主。“風”のあやつにとっては新しい玩具おもちゃ。ユーマの値打ちを決めるのはどこまで行っても他の者よ。だからと言ってその付けられた値札通りにユーマが生きる必要もないのじゃよ。おぬしの成すべきこと、成したいことはおぬし自身がわかっとるじゃろ? ん?)


 ……そっか。そうかもな。

 ところで、お前は俺のことをどう評価してるんだ?


(ふふん、聞きたいか? ならば教えてやろう。ユーマは儂にとって都合のいい器よ。カカカカカッ!)


 うーむ。聞くんじゃなかった……。

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