第240話 悪魔のごとく振舞う気位の高い慈愛もある、などとは思えない
「――我々が帝国を打ち倒すか、我々が帝国に滅ぼされるか。ユーマ・サナダ。君にはどうか結果を見届けていただきたいですね」
物騒この上ない発言をするヴィクトールの声音はしかし、実に楽しそうな響きをもって、謁見の間に響き渡った。
こいつ……!
まさかこの状況を楽しんでやがるのか?
亡国の危機を。国民全員の命の掛かった大博打を。
国家の代表として、国の、民の行く末を案じたりしないのか?
それとも、この悪魔のような振る舞いの中に、慈愛の心があるとでも言うのか?
なんにしろ、ヴィクトールは普通じゃない。変人か狂人の類だ……!
だが、もう俺に選択肢なんて残されていない。
やるか、やらないか、なんて状況じゃないのだ。
やるか。
もっと上手くやるか。
そのどちらかだ。
「いいだろう。だが最大限、俺の意向は酌んでもらうぞ」
「勿論ですよ、救国の大英雄」
……いちいち
「まずその呼び方をやめろ。俺は、英雄なんかじゃない」
「これは失礼しましたね。では、ユーマ殿、と」
「ああ、それでいい」
ちっともよくないがな!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます